“成長”に舵を切るパナソニック、新規設備投資は「まず国内で検討」:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックは2014年度の決算を発表した。2015年度までの3カ年計画の目標数値を全て1年前倒しで達成し、2015年度は「収益性改善」を最重視した段階から「売上高成長」へと舵を切る方針だ。また設備投資の“国内回帰”についても進めていく方向性についても示している。
2015年度は売上高成長へ
2015年度は営業利益率5%以上の達成と、売上高成長による利益創出の推進の2つを大きな方針に掲げ、売上高8兆円、営業利益4300億円(営業利益率5.4%)を目標とする。
この数字を達成するために売上高が3000億円で、営業利益率が5%未満である「エアコン」「ライティング」「ハウジングシステム」「インフォテインメント」「二次電池」「パナホーム」の6つの大規模事業部を、重点強化事業部と定め、売上高・利益改善に取り組む。情報開示なども推進する。
設備投資は“国内回帰”
パナソニックでは、4つの社内カンパニーで運営を行っているが、為替の影響については、「アプライアンス社」と「エコソリューションズ社」については輸入が多く円安が営業利益面でマイナス影響をもたらす。一方「AVCネットワークス社」と「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社」にはプラス影響があるとしている。2015年度の為替見込みは、1ドル=115円、1ユーロ=135円、1元=19.5円としており、「為替感応度は、ドルについては1円円安になれば、営業利益はプラス9億円、ユーロはプラス8億円、元はマイナス62億円となる。これに海外での売上高の伸びを掛け合わせて考えなければならないが、総合的に考えると2015年度は為替の影響は特にないといえるだろう」(河井氏)としている。
一方、拠点の動向については、海外においては構造改革面で一部再編の可能性を残すが国内については「一部で残る部分もあるが、全体的には新しい成長に向けた設備投資が増えていく」と津賀氏は語っている。為替面で国内での生産が有利な状況も増え、製造業の中には「国内回帰」の動きを活発化させるところも多いが「新しい設備投資を行う際にはまず『国内でできないか』ということを優先的に検討するようにしている。中級機以上の国内生産や輸出ということも想定している」と津賀氏は語っている。
関連記事
- 企業買います! 積極M&Aに乗り出すパナソニック、1兆円規模の戦略投資実行
パナソニックは2015年度の事業方針を発表した。2018年度の目標である売上高10億円に向けて、住宅事業と車載事業を中心に、M&Aも視野に入れた戦略投資を進める方針だ。 - “体質改善”進むパナソニック、減収減益も営利5%以上確保――国内回帰は春以降
パナソニックは2015年3月期(2014年度)第3四半期の決算発表を行った。為替影響を除いた実質的な売上高は減少し利益も減少したものの、営業利益率は5.7%を確保し、着実に利益を生み出せる体制へと“体質改善”の効果を強調した。 - “普通の会社”パナソニックが3年ぶりに黒字転換――円安で国内生産も増強
パナソニックは2013年度の決算を発表。構造改革の成果により、最終損益が前年度の7543億円の赤字から黒字転換した他、2018年度の売上高10兆円の目標に対し順調に推移していることを示した。また業績改善に対する設備投資の方針なども明らかにし、一部製品では円安の状況に対し国内生産を増やす方針を明らかにした。 - パナソニック、中期計画を1年前倒し達成へ――10兆円企業に向け準備整う
パナソニックは2014年10月31日、2014年度(2015年3月期)の業績見通しを上方修正し、中期計画で2015年達成を目指していた営業利益3500億円を、1年前倒して今年度に達成する見通しとなったと公表した。2015年度からは「成長に向けた戦略投資を行う」(社長 津賀一宏氏)と構造改革から成長戦略へ軸足を移すことを明言した。 - 日本企業のM&Aは39%が失敗!? 成功に導く2つのポイントとは
アクセンチュアは、新たに日本企業がASEAN企業のM&Aを行う際に効果を最大化する支援サービスを開始する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.