ニュース
イットリウム系超電導線材用の銅配向金属基板の量産体制を確立:工場ニュース
TANAKAホールディングスは、田中貴金属工業がイットリウム系超電導線材用の銅配向金属基板の専用生産ラインを構築し、量産体制を確立したと発表した。
TANAKAホールディングスは2015年4月6日、田中貴金属グループの製造事業を手掛ける田中貴金属工業が、イットリウム系超電導線材用の銅配向金属基板の専用生産ラインを構築し、量産体制を確立したと発表した。
田中貴金属工業は、2008年10月に中部電力および鹿児島大学と共同で、超電導線材の銅配向金属基板を開発。従来の配向金属基板の主素材であるNi合金に代わり、安価で配向性の高い銅を使用することで、コストを50%以上削減した。
また、酸素バリア金属層にパラジウムを含有した特殊ニッケルめっき液を用いることで、基板上の薄膜の成膜安定性を強化。2008年12月にはサンプル出荷を開始しているが、今回、設備条件の最適化を図ることで、長尺基板製造を可能にしたという。これにより同社では、国内外の需要に迅速に対応するため、2015年4月に自社工場内に専用生産ラインを構築した。
今後は、長距離大容量送電系統の安定化が求められる送電ケーブルや、高磁場を必要とする磁気共鳴画像装置(MRI)、核磁気共鳴分析機器(NMR)、大型船舶のモーターなど、さまざまな分野での応用が見込まれ、2020年までに年間12億円の売り上げを目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 量産現場における基本的な認識(2)
はんだ付けに用いるリフロー炉の操作方法や、実装ラインの品質を管理する現場の人材育成の手法を解説する本連載。今回は、言われたことに対して何の疑問も抱かない現場への警鐘から、基板不良の判定事例、フローにおけるブリッジ改善事例について紹介する。 - 生産ラインにマルウェアが侵入したらこんな感じで被害が生まれます
制御システムにおけるセキュリティが注目を集める中、実際に攻撃を受けた場合どういうことが起こり、どう対応すべきか、という点を紹介する本連載。2回目となる今回は「不正プログラムによって生産ラインが止まった段階」から、「不正プログラムの特定、駆除」までを、「DOWNAD」という非常に多くの感染例がある不正プログラムを例に解説する。 - 製造現場になだれ込む「モノのインターネット」と「ビッグデータ」
IoT(モノのインターネット)やビッグデータ解析の活用先としてにわかに「製造現場」への注目度が高まっている。製造業において、ICTの活用により生産性や柔軟性をもう一段高めようとするモノづくり革新の動きが活発化する一方で、これらの技術のビジネス活用を推進したいIT系企業が提案が加速。製造現場への熱気が高まっている。 - 「SiC」と「GaN」、勝ち残る企業はどこか?(前編)
品質やコストと並んで、設計開発者が関心を持たなければならないのが、「特許」だ。製品設計の前段階から、自らの新たな視点に基づく特許出願を心掛けることが重要だが、まずは技術者が自ら特許について調べるためのヒントが必要だろう。本連載では、特定分野を毎回選び出し、その分野に関する特許の企業別、国別の状況を解説しながら、特許を活用する手法を紹介する。 - 車載リチウムイオン電池の増産計画が相次ぐ