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車載リチウムイオン電池の増産計画が相次ぐ(1/3 ページ)

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 ハイブリッド車や電気自動車などのエコカー需要の拡大に対応して、複数の車載リチウムイオン電池メーカーが増産計画を発表している。また、汎用の円筒型電池セルを使って車載向けの展開を図るなど、新規参入も相次いでいる。

市場規模は2兆5000億円に

 車載リチウムイオン電池を増産する計画を発表したのは、三洋電機、韓国SB LiMotive社(ドイツRobert Bosch社と韓国Samsung SDI社が合弁で設立)、東芝の3社である。

 三洋電機は2009年10月、都内で記者会見を開催し、車載2次電池の事業戦略について発表した。

写真1三洋電機の本間充氏
写真1 三洋電機の本間充氏

 三洋電機 取締役副社長の本間充氏(写真1)は、「エコカー需要は、2015年が1つのターニングポイントになるだろう。このとき、全世界の新車販売台数を8200万台とすると、エコカーがそのうち460万台強を占めるようになると見ている。そして、全世界の新車販売台数が1億台を越える2020年には、1100万〜1200万台がエコカーになっているだろう」と語る。そして、「車載2次電池の市場は2兆〜2兆5000億円くらいに膨れ上がる。電池メーカー各社が増産体制を整えることが必要だ」(本間氏)とした。

 また、今後の事業戦略として、パートナーシップの強化、プラグインハイブリッド車用リチウムイオン電池などの開発の加速、量産体制の強化、グローバルサプライチェーンにおける競争力の強化、という4本柱を提示した。

 ハイブリッド車用リチウムイオン電池については、2009年3月に導入した徳島工場(徳島県松茂町)の1号ラインに加えて、2010年に加西事業所(兵庫県加西市)に2号ラインを導入する。2010年8月には1号ラインで月産10万セル、2号ラインで月産100万セルを目指す。また、同年の後半には、加西事業所に、プラグインハイブリッド車用に大容量のリチウムイオン電池を生産する3号ラインも導入し、月産30万〜40万セルを供給する予定だ。さらに、2015年までには月産1000万セルの供給体制を整えたいとしており、2008〜2015年までの累計投資額として約800億円を計上している。

 また、ニッケル水素電池についても、加西事業所に生産工程を新設し、追加で量産を行う。2009年末には月産300万セルの体制を整え、2010年1月よりこの体制で供給を開始していく予定である。なお、海外での製造体制については、2012年より電池パックの組み立てを徐々に現地化していくという。

 Robert Bosch社とSamusung SDI社は2009年8月、SB Limotive社の車載リチウムイオン電池が、ドイツBMW社の電気自動車に採用されたことを発表した。

 SB Limotive社の車載用リチウムイオン電池が提供されるのは、ドイツBMW社が開発中の電気自動車「Megacity Vehicle」である。BMW社は、街乗りに最適なシティコミュータの開発プロジェクト「Project i」において、電気自動車の開発を進めている。その第1弾製品として、小型車「MINI」をベースにした電気自動車「MINI E」を開発しており、リース販売も始まっている。Megacity Vehicleは、Project iで開発している電気自動車の第2弾製品で、2013年から量産販売される予定である。

写真2Bosch社のBerndBohr氏
写真2 Bosch社のBernd Bohr氏

 『第41回東京モーターショー』に合わせて来日した、Bosch社の取締役会メンバーで自動車機器テクノロジー統括部門長を務めるBernd Bohr氏(写真2)は、「Megacity Vehicle向けのリチウムイオン電池は、2011年から量産を開始する予定だ。また、BMW社以外の自動車メーカーとも、車載用リチウムイオン電池についての商談を進めている。SBLimotive社の車載用リチウムイオン電池の量産規模は、2012年末にはハイブリッド車向けと電気自動車向けを合わせて60万kW以上になると見込んでいる」と語った。

 東芝は2009年10月、リチウムイオン電池「SCiB」の第2量産拠点として、新潟県柏崎市に新工場を建設することを発表した。新工場は2010年4月に着工し、2010年10月に完成、2011年春から生産を開始する予定。当初の生産規模は、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両向けを中心に、月産50万セルを計画している。

 新工場は、新潟県柏崎市内にある柏崎フロンティアパーク内に建設される。敷地面積は3万3000m2で、建屋建設と製造設備に対する投資額は合わせて250億円。従業員数は約250人で、電池セルだけでなく、電池モジュールの生産も行う。電動自動車向けの需要の伸びが予想される2011年度から、生産能力を順次拡大する方針である。

 SCiBは、負極材料にチタン酸リチウムを採用したことによる高い安全性や、1日1回充放電を行っても10年以上使用可能な長寿命性能、容量の90%以上まで5分間で充電できる急速充電性能などを特徴とする。東芝は現在、長野県佐久市の佐久工場で、産業機器向けを中心にSCiBを生産している。柏崎市に第2量産拠点を設けることにより、スマートグリッドで利用される電力貯蔵向けなど、新たな需要にも対応できるようになるという。

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