「ボスキャラの倒し方」に学ぶ問題解決の手順:RPGで理解する生産管理(4)(5/5 ページ)
製造業にとって重要な要素である「生産管理」ですが、なかなか初心者には理解するのが難しい……。そんな生産管理初心者に向け、RPG(ロールプレイングゲーム)になぞらえて分かりやすく生産管理を解説する本連載ですが、第4回となる今回は、「問題」「原因」「課題」の違いをおさえた上で、MECE(ミーシー)やロジックツリーなどのフレームワークを使った問題解決の取り組み方をご紹介します。
MECEでモレやダブりをなくそう
しかし、なぜを5回繰り返す際には、本当にこの考え方でモレやダブリがないのかをしっかりと検討しなくてはなりません。こうした考え方のことをMECE(ミーシー)と言います。先ほどのロジックツリーも、このMECEを基に組み立てなければなりません。
このMECEとは、Mutually Exclusive & Collectively Exhaustiveの頭文字を取った言葉です。日本語に訳すと「相互に排他的な項目による完全な全体集合」となりますが、さらに言い換えれば、先述した「モレなく、ダブリなく」という意味になります。「抜けモレ」がないか、「重なり」がないかを考えることの重要性を説いた概念であり、ものごとを深く考える際の基本ともいえるものです。
MECEの考え方をRPGを例に考えてみると、以下の4つのパターンの様になるのではないでしょうか。
1.モレなしダブリなしの場合
RPGのキャラクターを分類する際に、ゲームにもよりますが、男性、女性といった性別で分けると、「モレなく、ダブリなく」なっているといえるでしょう。現実の世界でも、人間を「男性」「女性」と分けるのはMECEと言えます。
2.モレなし、ダブリありの場合
キャラクターをレベルで分ける際に、初級(レベル1から10まで)、中級(レベル11〜20まで)、上級(レベル21以上)、初心者(最初の関門をクリアするまで)と分けると、初心者は初級とダブってしまいますので、この分け方はMECEではありません。「初心者」がなければMECEと言えます。
3.モレあり、ダブリなしの場合
キャラクターを職業で分ける際に、「勇者」「戦士」「魔法使い」の3つに分けたとしたら、それ以外の職業があった場合にはダブリはないけど、モレが生じていることになり、MECEとはなりません。
4.モレあり、ダブリありの場合
「剣が使えるキャラクター」と「魔法が使えるキャラクター」の2つに分けた場合は、「勇者」のように剣も魔法も使えるキャラクターがいればダブリが生じますし、「武闘家」のように剣も魔法も使えないキャラクターがいれば、モレが生じることになり、やはりMECEではありません。
先ほどのロジックツリーを考える際も、このMECEを意識して考えないと本質からブレてしまう恐れが生じます。このように論理的な思考で考えることが問題解決には必要であり、生産現場での改善には欠かせない取り組みとなります。
次回は?
次回の第5回では、今回の続きとして「RPGから見える生産管理の本質」を切り口に「組織階層とバリューチェーン」と「組織風土と企業体質」、そして「トヨタ生産方式の本質」に迫りたいと思います。(次回へ続く)
筆者プロフィル
山口 亨(やまぐち すすむ) UTAGE総研 代表取締役 中小企業診断士
愛知県一宮市出身。中小企業診断士として、東京商工会議所を中心に、日々中小企業の経営改善現場で活躍。特に無料ツールを活用した、ITインフラ構築や販売促進支援と創業時などの思いを事業計画書という形に作り上げる支援に定評がある。また、著書に「ガンダムに学ぶ経営学」「ドラクエができれば経営がわかる」がある。
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