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インダストリー4.0で日独の協力関係はあり得るのか(後編)ハノーバーメッセ2015(2/3 ページ)

ハノーバーメッセ2015で開催された「インダストリー4.0」をテーマとした第9回 日独経済フォーラムの様子をお伝えする本稿。後編では、日独それぞれの企業の取り組みとパネルディスカッションの様子を紹介する。

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日本は既にインダストリー4.0を実現?

 これらのインダストリー4.0に取り組むドイツの2企業に対し、日本企業2社は自社が描くモノづくりの将来像を示した。

e-F@ctoryで日本版インダストリー4.0を実現する三菱電機

 三菱電機は2003年から展開する「e-F@ctory」でモノづくりのネットワーク化を推進。「ドイツが現在インダストリー4.0として進めていることは、全てではないが多くの部分において、10年以上前から当社が進めてきたことだ」と三菱電機 名古屋製作所 e-F@ctoryプロジェクトグループマネージャー 楠和浩氏は述べる。

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三菱電機 名古屋製作所 e-F@ctoryプロジェクトグループマネージャー 楠和浩氏

 e-F@ctoryは、工場の中のさまざまな機器をネットワークで接続して稼働状況や作業状況などを記録して“見える化”し、工場のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献するシステムのことだ。FA機器と、ERP(Enterprise Resource Planning、統合基幹業務)システムなどの基幹系システムをつなぐ仕組みで、生産計画と実際の製造状況の把握を同期させることが可能となる(関連記事:三菱電機 名古屋製作所、FA機器快進撃の舞台裏)。

 既に10年以上前から取り組んできたことから、導入実績を豊富に抱えていることが特徴で、自動車関連メーカーを中心に100社5000工場で実際にシステムが稼働しているという。楠氏は「『つながる工場』を実現すればモノづくりが改善されるかといえば、そんな単純なものではない。製造のノウハウは絶対に必要で、データ活用を行う場合も現場が分かる人間がやらなければ生産性改善にはつながらない」とこれまでの取り組みからの経験を述べていた。

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e-F@ctoryの全体イメージ(クリックで拡大)※出典:三菱電機

ロボットの多能工化を訴える安川電機

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安川電機 代表取締役専務執行役員 小笠原浩氏

 安川電機は「インダストリー4.0は確固としたこういう形というものはまだない状況だが、当社が考えるインダストリー4.0をハノーバーメッセでは出展した」(安川電機 代表取締役専務執行役員 小笠原浩氏)とし、BTOにより注文を受けると自動で生産を行うシステムを出展(関連記事:BTO生産を完全自動化、安川電機の考える「インダストリー4.0」)。

 一方で「以前日本の生産拠点も生産の完全自動化の方向に向かった時期があったが、現実的には難しいだろう。それよりもロボットを多能工化していく動きが進むと見ている」と小笠原氏は話す。今後はクラウドによるロボットプラットフォームにより作業を変化させたり、ハンドの電動化を進めたりするなど、技術開発を進めるとしている。

 インダストリー4.0については「囲い込むような動きは避けるべきだ。プレーヤーが増え新たな競争が生まれるような環境が望ましい」と小笠原氏は述べた。

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