IoT事業を強化するPTC、2015年中に200社へサービス導入:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
米PTCと日本法人であるPTCジャパンが両社の事業戦略を説明。IoT(モノのインターネット)に関する動きが加速する中で、今後はCADやPLMといった既存のサービス同士がつながることによる高い付加価値の提供を目指すなど、IoT事業をさらに強化していく方針だ。
日本ではグローバル設計開発環境の構築が加速
PTCジャパンの事業戦略については、同社 代表取締役社長の桑原宏昭氏が説明を行った。同社が2014年度に獲得した新規顧客数は前年比10社増となる130社で、特に設計開発情報を一元管理できるPLM製品「PTC Windchill」の売り上げが好調だという。大手企業だけでなく中堅企業への導入も進んでおり、桑原氏は「2015年度の成長率は前年比の約2倍を見込んでいる」と見通しを語った。
この好調の要因について同氏は「現在は世界各国の市場に合わせて、製品仕様をカスタマイズする必要がある。そこで日本の製造業は国内で行った設計開発の内容を、各国の市場を担当する開発部門に共有できるグローバルな設計開発環境の構築を進めている。こうした背景がWindchillの好調につながっていると考えている」と説明した。Windchillの好調も影響し、2015年度はPTCジャパンのPLM製品の売上高が、初めてCAD製品を上回る見通しだという。
CADだけでなくIoTからのアプローチも推進
桑原氏はPLM製品の売り上げが好調であることは、IoT導入の大きな後押しになると語る。「PLM製品の導入は、モノづくりの情報がデータベースに蓄積されることを意味する。こうした情報を活用してアフターサービスを展開したり、さらにIoTにより、モノから返ってきたデジタルな情報を部品とひもづけるといった新しいソリューションも現実味を帯びてくる。今後を考えた場合に、非常に期待できる状況にあると考えている。将来的にはスマートプロダクト開発のトータルプラットフォームを提供してきたい」(桑原氏)。
PTCジャパンの製造業などに対するサービス提供の流れは、CADの導入を起点にそこからPLMやSLMといった他の製品を展開していくというのが基本となる。今後はさらにIoTの導入を推進し、CADやPLMなどの製品同士が“つながる”ことによる付加価値の提供をアピールしていくという。その一方で、製造業以外の新たな顧客に対しては「まずIoTで扉を開く」(桑原氏)ことで、そこからPLMやSLM、CADといったその他のサービスを提供していくというこれまでとは逆のアプローチも行っていくとしている。
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