パナソニックは2015年3月23日(現地時間)、米国サンノゼで開催されたEmbedded Linux Conferenceで、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)領域の成長を加速させるため、関連するソフトウェアや特許などを無償公開することを発表した。同時に業界横断的なIoTの推進団体「AllSeen Alliance」に対し知財面での支援を強化することも明らかにしている。
同社では既に同年3月初めにOpenDOFプロジェクトを設立。パナソニックとOpenDOFプロジェクトによって、デバイスとクラウドを結ぶソフトウェアのオープンソースコンテンツの運営や管理を行っていく方針だという。公開されるオープンソースコードには、コンポーネントやゲートウェイ、クラウドサービスなどを含む。
現状では、太陽光発電やホームモニターシステム、電力小売り用のアプリケーションにおいて、デバイスとクラウドを結ぶソフトウェア技術を無償公開する計画だという。これらを公開することで、相互運用性やセキュリティの向上を推し進め、IoTソリューションや接続デバイスの市場拡大を推進する。
北米パナソニックのCTO(最高技術責任者)であるTodd Rytting(トッド・リティング)氏は「この決定は、市場が欲しがるIoT関連のソリューション開発者や機器メーカーを支援する重要な手助けとなるだろう」と語っている。
パナソニックでは、過去にも無線業界の発展を支援するために知財開放を行うなど、オープンな知的財産の活用によりコラボレーションを進めてきた歴史があるという。
市場拡大のための特許無償公開では、2015年1月にトヨタ自動車が燃料電池車(FCV)関連の特許5680件を公開して大きな注目を集めている(関連記事:トヨタの燃料電池車特許の無償公開に見る、4つの論点)。
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