「酸素犬ロボット」が在宅酸素療法の生活をアシストする:あなたに寄り添いついて行く(3/3 ページ)
在宅酸素療法をうける患者は国内に約16万人いるといわれ、彼らは日常生活で常に酸素ボンベを携帯しなくてはならない。彼らの生活の質を向上するために、2008年から開発が進められているロボットがある。
“寄り添う”ために必要なこと
利用者が限定されているロボットだから、開発当初から患者さんからの意見をヒアリングし、必要な機能とスペックを明確にしてきた。あれもこれもと機能を盛り込み、コストに跳ね返るのを防ぐためだ。
追従型以外に手で押す買い物カート型も試作したが、これは「年寄っぽい」と不評だったという。しかし、中には歩行の際につえを必要とする方もいる。つえと酸素を運ぶロボットを一体化することはできないだろうかと、共同開発者の入部氏は、遠藤氏と平行してハンドル伴走型ロボットの研究をしている。
歩くだけでも息切れがする患者さんが使うので、ロボットに階段を昇降する機能は搭載していない。これに関しては、数段の連続段差を乗り越えられるようにしてほしいという要望があり、パワーアシスト機能を追加して対応する予定になっている。
「開発当初からやりたかった、患者さんによる公道での実証実験がようやくできた」と遠藤氏と入部氏は、うれしそうに語る。福祉用具情報誌や呼吸器ケアの専門誌にロボット開発の状況が掲載されるなど、業界からの注目も大きくなっている。
「カートを持って歩くのが面倒」から、「リードを引っ張っていると犬を散歩させているようで楽しい」と患者さんの気持ちが明るくなるようなロボットにしたいと、遠藤氏と入部氏はいう。
遠藤氏は現在、よりコンパクトで軽量な新型を製作中だ。この新型はハンドルを畳めるので、車のトランクに詰めるし、新幹線の網棚にカートを乗せることもできる。
酸素犬ロボットが製品化されれば、COPD患者さんは気軽に買い物に出かけられるようになるだろう。外出のハードルが下がったら、行動半径を近所のコンビニからもっと遠くまで広げてほしい。遠藤氏のそんな願いが最新型の酸素犬ロボットに見てとれた。
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