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勤続17年の日米共同開発観測衛星「TRMM」が残した気象予測技術の進化:宇宙開発(4/4 ページ)
JAXAは東京都内で2015年4月上旬にミッション終了が予定されている熱帯降雨観測衛星「TRMM(トリム)」についての説明会を開催。宇宙から雨を観測する衛星として初の日米共同で開発されたTRMMは、約17年という当初の計画を上回る長期観測を続けてきた。今日の気象観測に大きな貢献を果たしたTRMMの功績を振り返る。
TRMMのミッションを引き継ぐ全球降水観測計画
こうしたさまざまな功績を残したTRMMだが、その高度は徐々に下がりつづけており、それに伴いミッション終了の時も近付きつつある。JAXAはTRMMの高度が402kmから392.5kmに下降したことを理由に、2014年10月7日からTRMMの降雨レーダーの運用を終了を発表している。ミッション終了は2015年4月上旬となる見込みだ。
これまでのTRMMのミッションを引き継ぐのが全球降水観測計画(GPM)だ。GPMとは、TRMMのような主衛星1機と、マイクロ波放射計を搭載した複数のコンステレーション衛星を組み合わせて、地球全域における降水の高精度・高頻度観測を目的とした国際協力ミッション。GPMで利用される主衛星は、JAXAとNASAが共同開発したもので、日本が開発した二周波降水レーダ(DPR)と米国が開発したGPMマイクロ波放射計(GMI)が搭載されている。
既にGPMの主衛星は2014年2月28日午前3時37分に、種子島宇宙センターからH-IIAロケット23号機での打ち上げに成功。既に降雨観測データの提供も始まっている。このGPM計画にはTRMMでの経験が数多く反映されているという。
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