シャープの液晶事業が脱スマホ依存を目指す、車載分野に注力へ:車載電子部品(3/3 ページ)
シャープは、液晶パネル事業(以下、液晶事業)の方針について、市場変動が激しく売価ダウンのリスクが高いスマートフォンやタブレット端末などの民生機器向けとなるBtoBtoC市場への依存度を軽減し、非民生機器向けのBtoBtoB市場の比率を高めていく方針を示した。
中核的な役割を果たす車載分野
同社は、BtoBtoB市場の規模について、2018年には、車載が2014年比で30%増、IAと医療が同10%増、サイネージが同2.1倍に拡大すると想定している。
BtoBtoB市場の事業拡大に向けて中核的な役割を果たすのが車載分野だ。シャープ ディスプレイデバイス第1事業本部 第4事業部 事業部長で車載担当の森正治氏は、「足元の車載ディスプレイの需要状況から考えて、将来クルマの中に多くのディスプレイが入ってくるのは確実だ」と期待を込める。
既にカーナビゲーションシステムなどに車載ディスプレイは普及しているが、高コントラスト化や高輝度化といった現在の価値は、将来的には当然のものとなる。今後は車載ディスプレイに対する顧客要求が、安全のための視認性向上、快適性を求めたデザイン性、使いやすいセンサー機能統合といった新たな価値にシフトするという。
例えば、ルームミラーが液晶パネルを使った「ミラーディスプレイ」になれば、イメージセンサーと連携し、ルームミラーを使った運転だと夜間や駐停車時に発生する死角をなくし、事故を減らすことが可能になる。
同社が2014年6月に発表したFFD(フリーフォームディスプレイ)を用いれば、曲面ディスプレイが可能になってデザインの自由度が格段に高まるので、車室内のデザイン性向上にも寄与するだろう。手袋をしたままでも操作できる高機能タッチパネルやジェスチャーセンサーを用いれば、ユーザーインタフェースの革新も図れる。
インセル型タッチパネルの開発も強化する。生産技術的な問題や画面サイズの大型化が困難なことから、スマートフォンやタブレット端末など小型液晶パネルに限定していたが、同社の独自アルゴリズムを採用すれば、画素数がWQHDのタッチパネルでも高精度に操作できるという。これによって、中型サイズのインセル型タッチパネルを市場投入できる。
先述した大型液晶タッチパネルの操作性を向上するフリードローイングは開発が終了している。中型サイズのインセル型タッチパネルも、2015年6月以降に量産を開始するために準備を始めているという。
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