シャープの液晶事業が脱スマホ依存を目指す、車載分野に注力へ:車載電子部品(2/3 ページ)
シャープは、液晶パネル事業(以下、液晶事業)の方針について、市場変動が激しく売価ダウンのリスクが高いスマートフォンやタブレット端末などの民生機器向けとなるBtoBtoC市場への依存度を軽減し、非民生機器向けのBtoBtoB市場の比率を高めていく方針を示した。
BtoBtoC市場からBtoBtoB市場へ
同社の液晶事業のポートフォリオは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCといったBtoBtoC市場向けが約85%を占める。残り15%が車載、工場、医療、公共、産業機器(IA)、サイネージなどの社会インフラといった企業向けのBtoBtoB市場となる。中期の事業拡大では、このBtoBtoB市場の比率拡大がテーマになっている。
BtoBtoC市場は、エンドユーザーの低価格指向が強く製品のサイクルタイムも短い。市場の変動が激しく、急激な売価ダウンもあってリスクが大きい。一方のBtoBtoB市場は、市場は小さいもののカスタム性が強く、品質力、技術力、サポート力、提案力が必要で参入障壁が高い。「液晶パネル開発で40年以上の歴史を持つシャープにとって、BtoBtoB市場が適している。独自技術で、ディスプレイを使ったユーザーインタフェースの革新に寄与し、既存システムの進化を提案していく」と自信を見せる。
例えば、公共や教育などの用途で使われている大型の液晶タッチパネルは、現在の技術では1度に1人しかパネルへのタッチ操作ができない。シャープの技術を使えば、複数人が一緒に書き込みを行えるので、通常の紙や黒板と同じような使い方が可能になるという。このようにマルチタッチやフリードローイング、3Dモーションセンサーなどの独自のアルゴリズムでディスプレイの操作性を向上し、付加価値を上げていく方針だ。
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