“体質改善”進むパナソニック、減収減益も営利5%以上確保――国内回帰は春以降:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックは2015年3月期(2014年度)第3四半期の決算発表を行った。為替影響を除いた実質的な売上高は減少し利益も減少したものの、営業利益率は5.7%を確保し、着実に利益を生み出せる体制へと“体質改善”の効果を強調した。
テレビは日欧では自社生産を継続
テレビ事業については中国での生産を終了するなど、生産体制の再編を含めた構造改革を進めているが「日本や欧州など当社にとって需要が大きな市場については自社生産を継続する」と河井氏は説明。日本の宇都宮工場や日本向け製品を生産しているマレーシア工場、欧州のチェコ工場などでのテレビ生産は継続する方針を示した。一方、米州向けの生産拠点については見直す可能性があるが「現在のところは動きはない」としている。
また課題事業となっていたエアコン事業とデジタルカメラ事業については黒字化し「デジタルカメラ事業については高付加価値機種への集中により高い利益率を確保できる事業体となり課題事業からは脱出したといえる」(河井氏)。
また半導体事業については大きな赤字が残るものの「方向性としてはほぼ見えてきた。決めた方向に着実に進んでいく」(河井氏)としている。富士通とのシステムLSI事業の統合についても「予定通り進んでいる。当初発表通り2014年度第4四半期中に発表を行う」(河井氏)。
白物生産の“国内回帰”は春以降に開始
パナソニックでは為替が1円分円安に動くと営業損失面で約10億円のプラス効果が発生するとしており、円安によるこの第3四半期のプラス効果は約50億円、第4四半期についても約20億円のプラス効果が見込まれる。さらにアプライアンス製品においては海外で生産し国内に輸入する状況ではマイナス効果が発生するので「いくつか品目については国内生産を検討している。春以降にできるところからやっていく」と河井氏は語っている。
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