100万台以上のIoT機器を遠隔で即時操作できるクラウド集約型システム:FAニュース
東芝は、100万台以上のIoT機器を遠隔から即時操作できるクラウド集約型システムを開発した。暗号化通信時のメモリ利用効率の向上により、比較的小規模な仮想サーバ単体で、10万台以上の機器の接続を可能にした。
東芝は2015年1月16日、100万台以上のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器を遠隔から即時制御できるクラウド集約型システムを開発したと発表した。
インターネットを介して家庭内の家電を制御する場合、携帯端末からの制御信号を中継サーバに一時的に蓄積し、家電から定期的にサーバに制御信号の有無を問い合わせる方式がある。しかし同方式は即時制御ができないため、サーバと家電・携帯端末間で「WebSocket」技術による接続を常時維持し、即時的に制御信号を転送する方式が提案されている。ただしこの方式は、安全な暗号化接続を常時維持する必要性から、1台のサーバの接続台数には限界がある。特に100万台以上の機器を扱うIoT向けの巨大システムでは、複数台の中継サーバを運用する必要があり、その効率化が求められているという。
今回同社では、WebSocketを用いた即時遠隔制御システムにおいて、サーバ1台あたりの接続台数を向上させつつ、サーバ追加によるシステム拡張性とシステム全体でのサーバ運用効率を向上させる新システムを開発。同システムでは、暗号化通信時のメモリ利用効率を向上させ、比較的小規模な仮想サーバ(メモリ4GBのノートPCクラス)単体で、10万台以上の機器の接続を可能にした。
さらに、新システムの接続調停機能により、制御する携帯端末と制御される機器を常に同一のサーバに接続させることで、サーバ台数が増えても即時性を維持することができる。それぞれ異なるサーバでは、サーバ間で制御信号を転送するため、余分な経路をたどることになるが、新システムではこれが発生しない。
サーバの負荷状態に応じて動的にWebSocket接続を切り替え、システム全体での運用サーバ数を最適に調整する機能も備えた。例えば、日中と夜中では利用する機器の数が異なるが、利用数が少ない時間帯にサーバ数を自動的に削減させることもできる。
今回の新システムにより、100万台以上の大規模な機器に対しても、システムの利用効率を下げることなく遠隔制御のサービスを提供できるようになるという。同社では今後、多種多様なセンサーなどのIoT機器に適用するため、研究開発を進めていく予定だ。
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