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東芝が機能安全規格対応の車載マイコンを発表、2015年度に売上高100億円の達成を目指す

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 東芝は2011年7月、自動車向けの機能安全規格ISO 26262に対応する車載マイコンを発表した。電動パワーステアリング(EPS)向けの「TMPM350FDTFG」と、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の走行用モーター向けの2品種をそろえる。サンプル出荷を2011年9月から、量産出荷を2013年4月から開始する。サンプル価格は、TMPM350FDTFGが1000円、TMPM354F10TFGが1600円。量産規模は、TMPM350FDTFGが100万個/年、TMPM354F10TFGが50万個/年。


 マイコンを機能安全規格に対応させるためには、プロセッサコアの動作を監視するための仕組みを導入する必要がある。この仕組みとして一般的なのが、デュアルロックステップ方式である。同方式では、1つのダイに搭載した2つのプロセッサコアのクロックを同期させながら、それぞれのコアで同じ処理を行う。そして、それぞれのコアの処理結果を比較回路で比較して、同じ処理結果だったときだけ実行する。

 一方、TMPM350FDTFGとTMPM354F10TFGは、プロセッサコアとして英ARM社の「Cortex-M3」を、コプロセッサとしてイタリアYogitech社の機能安全規格向けハードウエアIP(Intellectual Property)を採用している。Yogitech社のコプロセッサは、ARM社のプロセッサコアの命令によって動作するとともに、ARM社のプロセッサコアの内部信号まで監視することができる。このように、プロセッサコアとコプロセッサを密接に連携させて、プロセッサコアの動作を監視する方式を、東芝は「シングルコア密結合方式」と呼んでいる。シングルコア密結合方式は、デュアルロックステップ方式では難しい、プロセッサコアの内部における故障の即時検出や、その故障の発生個所を絞り込みが可能なことを特徴としている。また、プロセッサコアを2個搭載するデュアルロックステップ方式よりも、チップサイズを低減できることもメリットになるという。

 東芝は、これらの2品種の市場投入を皮切りに、ISO 26262に対応した車載マイコンの売上高を2015年度で100億円を計画している。同社は、2015年度におけるISO 26262に対応した車載マイコンの市場規模を1000億円と予測していることから、同市場で10%のシェアを獲得することが目標となる。

 TMPM350FDTFGとTMPM354F10TFGの主な仕様は以下のとおり。電源電圧は、2品種とも入出力が5V、内部が1.5V。TMPM350FDTFGは、動作周波数が88MHzで、フラッシュメモリーを512Kバイト、SRAMを48Kバイト搭載する。外形寸法は14mm×14mmで、パッケージは100端子のLQPを採用している。一方、TMPM354F10TFGは、動作周波数が80MHzで、フラッシュメモリーを1Mバイト、SRAMを64Kバイト搭載する。走行用モーターの制御に用いられている回転角センサーのアナログ信号をデジタル信号に変換する回路を内蔵しているので、従来は必要だった専用のICを用いる必要がない。また、レゾルバをはじめとする励磁信号を使用する回転角センサー以外に、励磁信号を使わない回転角センサーに対応する機能も備えている。さらに、従来プロセッサコア上でソフトウエア処理していたモーターのベクトル制御関連の処理を行うための回路も内蔵している。この回路により、モーター制御時におけるプロセッサコアへの処理負荷を50%以上削減することが可能だ。外形寸法は20mm×20mmで、パッケージは144端子のLQFPを採用している。

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