東芝が画像認識プロセッサに「Cortex-A9」を搭載、監視カメラなどへ展開を拡大:車載半導体
東芝の画像認識プロセッサの新製品「Visconti3」は、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A9」の搭載により、スマートフォンなどと連携動作させる機能をはじめソフトウェア開発が容易になった。これによって、車載向け中心だった事業展開を、監視カメラなどにも広げる方針だ。
東芝は2013年2月28日、同社の画像認識プロセッサ「Viscontiシリーズ」の新製品として、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A9」をデュアルコア構成で搭載する「Visconti3(型番名:TMPV7528XBG)」を発表した。2013年4月からサンプル出荷を始める。サンプル価格は8000円。2014年1月から、年産10万個規模で量産を開始する予定である。
Visconti3は、2011年10月に発表した「Visconti2」(関連記事)の画像認識処理能力や豊富な入出力インタフェース群はそのままに、Cortex-A9がデュアルコア構成で搭載されていることが特徴だ。
Cortex-A9は、カーナビゲーションシステムやスマートフォン、タブレット端末などのプロセッサとして広く利用されている。Visconti3に搭載したCortex-A9を使えば、これらの機器と連携動作させるための組み込みソフトウェアの開発や実装が容易になる。例えば、監視カメラであれば、撮影した映像をスマートフォンで共有したり、人物認証システムやデジタルサイネージと連携させたりすることが容易になる。
さらにCortex-A9が備える単精度と倍精度の浮動小数演算ユニット(FPU)も、Visconti3が車載向け以外に市場を拡大する上で重要な機能になる。PCベースで開発された画像認識のソフトウェアやアルゴリズムは、組み込み機器への実装の際に、整数化あるいは固定小数点化して並列演算をする必要があった。しかし、単精度と倍精度のFPUを持つCortex-A9を搭載するVisconti3を使えば、整数化や固定小数点化が不要になり、画像処理ソフトウェアの開発が容易になる。
これらのCortex-A9の機能によって、車載向けが中心だったViscontiシリーズの事業展開を他の分野にも拡大しやすくなる。東芝はVisconti3の投入後もラインアップを強化し、2015年度にはViscontiシリーズ全体で年間200万個の販売を目指すとしている。
Visconti3のCortex-A9の動作周波数は300MHz。この他に、266MHzで動作する制御用のRISCプロセッサコア「MeP」や、同じく266MHzで動作する画像認識エンジン「MPE(メディアプロセッシングエンジン)」が4個、画像処理アクセラレータが6個、ビデオ入力インタフェースが4チャネル、PCI Expressが1レーンなど、Visoconti2と同等の機能を備えている。Cortex-A9を搭載するにもかかわらず、パッケージが516端子のPBGAで、外形寸法が27mm角である点はVisconti2と同じだ。
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