自動車部品だけじゃない!? デンソーがついに農業支援に本格進出:製造マネジメントニュース
デンソーは、農業用ハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度を最適な状態に自動制御し、農作物の安定生産と収穫量増加に貢献する農業生産システムを発売する。
デンソーは2015年1月30日、農業生産支援システム「プロファーム」を同年4月1日に発売すると発表した。共同実証を進めてきたトヨハシ種苗を通じて販売し、同年7月から出荷を開始する。
今回発売するプロファームは、風向き、風速、日照、降水の有無、およびハウス内の温度、湿度、CO2濃度を計測する「各種センサー」と、ハウスの天窓・カーテンの開閉、空調装置の制御、ミスト・CO2の発生を行う各種機器に制御信号を出す「コントローラー」で構成。ハウス内外の状況に応じて植物の生育環境が最適となるようコントローラーが自動的に制御するという仕組みだ。
現在、国内のハウス栽培においては、ハウス内の植物の生育環境を制御するために、海外から輸入したシステムを使用する場合が多い。しかし、海外の大規模ハウスを想定したシステムである場合が多く、日本特有の小規模な農地面積にも適したシステムの実用化が求められていた。
これらの課題を解決するため、デンソーはこれまで長年培った車載、家庭用空調システム技術や工場用制御技術を活用し、日本の小面積の農地や高温多湿な気候において、ハウス内の植物の生育環境を最適に制御できるシステムを開発。
2012年1月からはトヨハシ種苗と共同で、試作機を実証ハウスに導入し、トマトの栽培における効果を検証してきた。また、CEATEC JAPANをはじめとする各種展示会にも出展(関連記事:CEATEC JAPANに見る農業の未来、「モノづくり」としての農業にご注目!)。2013年からは、愛知県、千葉県、熊本県の3地域でモニター販売を実施して意見を聞き、製品開発に反映することで本格販売に至ったという。
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