設計・開発にソーシャルの力を! PLMにコラボレーション機能を追加するワケ:製造ITニュース
PLMベンダーのアラスジャパンは、新たにビジュアルコラボレーション機能などを強化したPLMシステム新版のリリースを発表した。
アラスジャパンは2015年1月28日、同社のPLM(Product Lifecycle Management)システムの最新版である「Aras Innovator 11」のリリースを発表した。新たにビジュアルコラボレーション機能を強化したことが特徴となる。
米Arasは2000年創業のPLMベンダーで、日本法人であるアラスジャパンは2012年に設立。製造業および設計・開発者のニーズにより深く応えるために「エンタープライズ・オープンソース・ビジネスモデル」という特徴的なビジネスモデルを展開することが特徴だ。同ビジネスモデルは、PLMシステムそのものをライセンス販売するのではなく、無償で提供する。その代わりに、ソフトウェアに掛かるサポート費用やメンテナンス費用をサブスクリプション(定期契約)で提供するというものだ。
従来型のPLMでは、導入してみると思ったほどのパフォーマンスが得られないなど、導入前に気付かない要素での、リスクが大きかった。しかし、Arasが取るサブスクリプション型モデルでは、トライアル版ではなく本物のPLMシステムを使用しての評価が可能だ。また、費用をかけずにスモールスタートが可能である点についても評価を得ているという。既にグローバルでは600社以上の製造業が同システムを利用しており、日本でも90社以上の導入実績があるという。
アラスジャパン 社長の久次昌彦氏は「当社のビジネスモデルは初期投資を大きく抑えることが可能で、さらにいつでもやめられる。そのため、当社にとってはユーザー企業に満足してもらい、更新し続けてもらえるということが1つの企業価値の指標になる。現在までのところ99%のサブスクリプション更新率となっており、多くの企業に満足してもらえていると手応えを感じている」と語っている。
設計・開発の流れに合ったコラボレーションを
PLMの役割について「標準化できない個別受注への対応や、設計変更への対応、図面探しの無駄な時間など、本来PLMを導入して解決するはずだった問題が解決できていないケースが多い。従来のPLMが、設計データをアーカイブするPDM(Product Data Management)としての利用にとどまっており、メカ設計者や電気回路設計者がそれぞれのPDMにデータを収納するだけの場合が多く、結果としてビジネスプロセスの改善が行われていない」と久次氏は指摘する。
そこで、Aras Innovator 11では「本来のPLMが目指すべき機能」(久次氏)とするコラボレーション機能を強化したことが特徴だ。「本来のPLMは製品開発の流れに沿って、必要な図面やデータを活用できるようにしなければならない。また、CADデータだけでなく、製品の仕様やコンセプト、設計ノウハウなども引き継ぎ、プロセスとして効率化しなければならない。そのためにはさまざまな情報を必要な設計者で共有でき、それに対してフィードバックができるようにする必要がある」と久次氏は述べる。
そこで、PLMとして収納されるドキュメントやCADデータなどにSNSなどで利用されるフィード機能を用意。設計中のデータに対して、上司や他部門の関係者がコメントを入れたり、返答したりすることができるようにした。
これらの新機能を加えることで、国内でのAras Innovatorの普及を加速し、2015年は「導入企業を現在の90社から150社に、利用ユーザー数を約1万2000人から約3万人に引き上げたい。また組み立て製造業トップ50における導入シェアを現在の20%から30%に引き上げたい」と久次氏は話している。
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