“すき間でキラリ”のツインバード工業がブランディングを進める理由:製造マネジメントニュース
小物家電などを取り扱うツインバード工業は、独自の存在感を確立するためブランド強化の取り組みを推進している。
ツインバード工業は2015年1月23日、2015年春夏の新製品発表とともに事業戦略を発表した。同社は2014年度(2015年2月期)を“ブランディング元年”と位置付け、独自のブランド強化につなげる取り組みを進めてきたが、2015年度(2016年2月期)についても引き続きブランディング強化を主テーマとして取り組んでいく方針を示した(関連記事:“ブランディング元年”を掲げるツインバード工業がモノづくりで目指すもの)。
ツインバード工業は1951年の創業後、1963年から家電製品を展開する家電メーカー。当初はギフト用の家電製品を展開していたが、徐々に手を広げ現在は電子レンジや炊飯器、掃除機、生活家電、防水テレビ、卓上照明など多岐にわたる小物家電製品を展開している。従来の同社の取り組みにおいて、強みとしても弱みとしても抱えているのが“顔の見えない”ブランドであるということだ。
同社はもともとギフト用家電などから家電製品に参入したこともあり、現在の販売ルートも、一般家電メーカーなどと比較するとギフトルートや通販ルートの比率が高い。そのため独自のブランド力を発揮する必要性がない状況が続いていた。一方でこれらのギフトや通販などの多岐にわたる販売ルートに少数のモノを提供していかなければならないため、多品種小ロットでの俊敏なモノづくりが求められ、それらに応える製品開発体制を持つことが強みとなっている。
ツインバード工業 代表取締役 野水重明氏は「小ロットでスピーディに高品質なモノを具現化できることは当社の強みになっている。一方で変化の激しい時代の中でエンドユーザーの新たなニーズをくみ取るということについては不十分な面がある。そこを着実に変えていきたい」と語る。
同社は2015年度の基本方針として「お客様志向の徹底(ブランディング)」「海外事業の推進(海外展開)」「スターリングクーラー(SC)事業の推進(技術開発)」の3つを積極的に推進する方針を示す。
ブランディングについては「顧客に対し何を約束するかということを示していかなければならない。その意味で顧客との接点を増やす活動を強化する」と野水氏は語る。現在までの間に修理や問い合わせの対応を行うアフターサービスセンターおよびコールセンターの強化を行った他、SNSでの情報発信も開始した。また、情報の受発信をしやすい環境づくりをするために、東京の拠点を強化。2015年3月には新たに自社ビルを用意し、営業拠点としての活用を行うとともに、商品企画部門を移管し、消費地に近いところで製品の企画を行える体制を築く。
野水氏は「顧客との双方向のコミュニケーションを深めることで、一緒に新しい製品やサービスの価値を作り出していきたい。モノづくりの町である新潟県燕三条市の企業として“職人”的なモノづくりの強みはある。今後はそれを時代や顧客のニーズに最適なタイミングで適合できるようにしていく」と話している。
また、海外展開については、2015年1月に中国向けの空気清浄機を発表した他、韓国でのテレビショッピングなどに進出。今後もアジア地域向けの展開を強化する方針だ。また、独自の「FPSC」(フリーピストンスターリング方式冷凍機)についても2014年度は米国でワクチンクーラーとして大量導入があったとし、2015年度はさらに国内外の企業との共同開発でさらに導入を拡大するとしている。
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