IoTが2030年までに世界で生み出す市場規模は14兆ドル、日本では1兆ドルに:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
アクセンチュアは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に関する最新調査を発表。IoTの世界市場規模は2030年までの累積で14兆2000億米ドル(約1677兆円)に拡大する可能性があるという。その一方で、政府や企業が新たなデジタル技術を活用するための十分な対策を講じていないと、IoTの潜在的な利益を喪失する恐れがあると指摘した。
IoTは生産性向上とコスト削減の手段にすぎない?
ただし、世界の1400人以上の経営幹部(内736人がCEO)に調査した結果では、73%の企業がIoTを活用する具体的な計画を作成していなかった。さらに、IoTへの包括的な投資戦略を持つ企業は調査対象の7%だけだった。この状況では、先述の調査結果にあるような「IoTへの投資を50%増やす」ということが行われないので、経済成長の機会損失につながるというのがアクセンチュアの指摘だ。
IoTへの取り組みが進まない大きな理由として挙げたのが、「新たな収益源を生み出す難しさ」だという。調査対象の半数以上(57%)の経営幹部が「IoTの魅力は新たな収益機会の創出である」と回答しているにもかかわらず、「IoTを活用して実際に収益を上げる見込みがある」と回答した経営幹部は7分の1以下(13%)にとどまった。
またIoTによって「収益を上げる見込みがある」と回答した企業は、IoTで効率を上げることに重点を置いている。IoTの活用による最も実現性の高いメリットとして挙げたのは、従業員の生産性向上(46%)や運営コストの削減(44%)だった。
アクセンチュアCTOのポール・ドーアティ氏は、「現在、IoTは生産性向上とコスト削減への貢献にとどまっている。しかし、企業が効率性向上のためだけにデジタル技術を活用するのでなく、新たな市場や収益源を創造するためにデータの価値を引き出すことができれば、IoTの経済的潜在力を完全に発揮させることができる。これにより、ビジネスは根底から変革され、例えば競合企業との協力、異業種との提携、組織構造の再設計、そして新たなスキルと人材への投資といった変革が起こるだろう」と述べている。
「IoTにより雇用が創造される」
IoT活用に向けた環境整備状況について、主要20カ国の国別ランキングも発表している。1位の米国以外では、2位スイス、3位フィンランド、4位スウェーデン、5位ノルウェー、6位オランダ、7位デンマーク、8位英国と北欧を中心とする欧州諸国が上位を占めた。日本は9位に入っている。下位5カ国に入ったスペインとイタリアは、ロシア、インド、ブラジルと並び、IoT活用に向けた環境整備が不十分という結果だった。「環境整備が不十分」という要素には、新技術の活用に必要なインフラやスキル、制度基盤などが限られていることが含まれており、これらを解決するには政府の投資や企業への支援が必要だとしている。
また調査では「IoTにより雇用が創造される」と考える経営幹部が87%に上ることが示された。アクセンチュアと世界経済フォーラムによる共同調査では、デジタル技術は既存のスキルを向上させ、労働者の業務内容を高度化して、将来的に好影響をもたらすと予測している。例えば、掘削機器の操縦者は、エンジニアやデータ分析者と協力して操作の正確性と生産性を向上させることによって、掘削機器を遠隔操作できるようになる。「IoTは、あらゆる労働者を知的労働者に変える。単に労働の質を向上させるだけでなく、より仮想的で協調的な作業環境を実現し、さらには全く新しい仕事の分野を創造する」(アクセンチュア)という。
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