自動運転、コネクテッドカー、進化型HMI――カーエレがクルマを革新する:オートモーティブワールド2015 基調講演リポート(3/3 ページ)
「オートモーティブワールド2015」基調講演にVolkswagenの電子・電装開発部門 専務を務めるVolkmar Tanneberge氏登壇。同氏は「オートモーティブエレクトロニクスの革新」をテーマに同社のカーエレクトロニクスに関する技術開発への取り組みを紹介した。
次世代インタフェースを具現化した「Golf R Touch」
Tanneberger氏が紹介した3つ目のテーマがHMI(ヒューマンマシンインタフェース)だ。運転支援システムや車載テレマティクスサービスの発展に伴い、ドライバーが操作する機能も増加傾向にある。同氏は「機能やサービスが増える中、自動車メーカーはドライバーの操作負荷を軽減する新たなHMIを開発していく必要がある」と主張し、フォルクスワーゲンが提案する新たなHMIとして、消費者向けエレクトロニクスの総合展示会「2015 International CES」(2015年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)で発表した「Golf R Touch」を紹介した。
Golf R Touchのインパネ部分のタッチパネルはスマートフォンやタブレット端末のように操作することが可能で、画面上から空調などのさまざまな機能をコントロールできる。タッチパネルの下部には「マルチタッチスライダー」が設置されており、触れている指の本数を認識して音量や照明などを個別に制御できる。また、スイッチ類に手を近付けると自動的にシンボルマークが点灯する機能も備えルなど、ドライバーの操作性に着目したさまざまな機能が盛り込まれた。
さらにTanneberger氏は、将来的にはジェスチャーコントロール機能を搭載する方針を示した。ルーフコンソール内に設置された3Dカメラで乗員のジェスチャーを認識してコマンドに変換することで、手を振るとサンルーフが自動的に開閉するといったさまざま操作が行えるようになるという。
高精度なデジタルマップの実現がモビリティ社会を革新する
Tanneberger氏が4つ目のテーマとして語ったのが「ビッグデータ」だ。さまざまなセンシング技術の搭載、さらにインターネットとの接続によって自動車からさまざまな種類のデータを収集することが可能になりつつある。Tanneberger氏は、自動車から収集したデータの活用方法として「高精度なリアルタイムデジタルマップの生成」が重要になると主張した。
「さまざまなデータを集約した高精度なデジタルマップが全ての自動車に提供されるようになれば、部分的な自動運転や全自動の駐車機能といった新しい機能の実現が可能になる。天候や道路状況だけでなく、ある道路の一部にダメージがあるという情報があれば、自動車の自動運転機能が先取りで対応するといったことも可能になる。リアルタイムデジタルマップと運転支援システム、さらにオンラインサービスの融合は私たちのモビリティ社会を革命的に変えていくだろう」(Tanneberger氏)。
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