惑星探査における資材や人間の輸送に自動運転技術を応用へ:製造マネジメントニュース
日産自動車とNASAは、自動運転車の技術開発と商業的応用を目標とした5年間の共同研究開発プログラムを締結した。日産自動車は自動運転車の実用化の加速、NASAは惑星探査で資材や人間の輸送を行う自動運転車の開発が狙い。2015年内に、NASAの惑星探査車の遠隔操作技術を適用した自動運転車を試作し、検証実験を行う予定である。
日産自動車は2015年1月9日(米国時間)、同社の北米研究拠点とアメリカ航空宇宙局(NASA)が、自動運転車の技術開発と商業的応用を目標とした5年間の共同研究開発プログラムのためのパートナーシップ契約を締結したと発表した。日産自動車は自動運転車の実用化の加速、NASAは惑星探査で資材や人間の輸送を行う自動運転車の開発が狙い。2015年内に、NASAの惑星探査車の遠隔操作技術を適用した自動運転車を試作し、検証実験を行う予定である。
同プログラムは、日産総合研究所のシリコンバレーオフィスと、米国カリフォルニア州モフェットフィールドにあるNASAのエイムズ研究センターが締結したもの。自動運転システムやHMI(Human Machine Interface)、ネットワーク対応アプリケーション、ソフトウェアの分析/実証、道路交通環境や宇宙で使用される高度なハードウェア/ソフトウェアを含む、自動運転車に関わる全ての技術開発に取り組む。
具体的には、自動運転車が資材や人間の輸送を遠隔操作で行えるかを実際に検証することが研究開発の目的となる。そこでまず、自動運転技術を搭載した電気自動車「リーフ」を用いてエイムズ研究センターの敷地内で検証実験を行う。この自動運転車には、NASAのミッションコントロールセンターで行っている惑星探査車の遠隔操作に用いているのと同じ技術を適用する。
今回の提携で日産自動車は、2016年に市場投入を開始し、2020年に向けて段階的に実用化を目指す自動運転技術の開発を加速させることができる。一方、NASAは、日産自動車の自動運転車に用いられている要素技術や専門知識を共有できるとともに、車両を用いた輸送に関する共同研究、適正なプロトタイプシステムの利用、ロボットソフトウェア用実験設備の活用などが可能になるという。
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