サイバーダインとオムロンがロボット事業で提携、“匠の技”伝承狙う:ロボット開発ニュース
サイバーダインとオムロンがロボット事業を含む基本同意書を締結した。サイバーダイン「HAL」などの販売促進と保守をオムロンが行う他、産業分野におけるロボット技術の応用についても共同での事業展開を推進する。
サイバーダインとオムロンは2014年12月24日、ロボット事業を含む基本同意書を締結したと発表した。2015年よりサイバーダインの開発した介護/作業支援ロボット「HAL」などの販売促進と保守をオムロンが行う他、産業分野におけるロボット技術の応用についても共同での事業展開を推進する。
対象となるサイバーダインのロボットは、ヒトが装着することで腰への負担を軽減する「HAL 介護支援用(腰タイプ)」と「HAL 作業支援用(腰タイプ)」、それに工場やオフィス内の運搬作業を行う「クリーンロボット」「搬送用ロボット」の4種類。いずれも販売促進と保守サービスは、国内約130の拠点を持つオムロンフィールドエンジニアリングが行う。
共同による事業推進では、オムロンの持つセンシング/コントロール技術と、サイバーダインの持つサイバニクス技術の融合による、産業分野へのロボット技術導入を目標とする。サイバーダイン 代表取締役 CEOの山海嘉之氏はその一例として、「熟練技能者の技能をロボットへ転写する」を挙げ、「事業としてみると確認するべき点は多いが、技術的な部分についてはある程度のめどがついている」と自信を示した。
オムロンの代表取締役CEO 山田義仁氏は、同社がCEATEC 2014で出展した「卓球ロボット」を引き合いに出しながら両社ロボット技術の融合・応用について「生産革命」という表現を用い、同社の主力事業であるFA(Factory Automation)にもロボット技術の導入により、「新しいFAが実現できるのでは」と期待する。
なお、サイバーダインのHAL 介護支援用(腰タイプ)とHAL 作業支援用(腰タイプについては2014年11月に生活支援ロボットの国際安全規格「ISO 13482」を取得しており、「ロボットの事業展開」を積極的に進めている。
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