そろそろオープンIPについて語ろうか:zenmono通信(2/2 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、zenmonoのトークイベントの内容をお伝えする。テーマは「企業知財のオープンソース化」。ゲストにはシティライツ法律事務所の弁護士 水野祐氏、エムテドのデザイナー 田子學氏、ニットー 代表取締役の藤沢秀行氏を迎えた。
enmono宇都宮 田子さんは鳴海製陶のOSORO(耐熱食器ブランド)をプロデュースされた時、オープンが当たり前の陶器業界で、特許を取られたそうですね。
田子氏 今後の展開を考えた時、特許を取るべきだと思いました。陶器は古くからあるプロダクトで歴史があり、業界独自の考え方から、メーカーさんは特許についてあきらめていましたが。知り合いの弁理士さんにも、最初は、商品がシンプルすぎて難しいと言われましたが、プロダクトの視点で“器であり蓋でもある”という特徴に着目したことによって、実用新案と意匠権を取得できました。
水野氏 特許や意匠、実用新案というのは、クローズドといっても、本来はオープンなものです。「人類のために技術を公開する代わりに、20年は独占権を与えます。その後は皆のものです」というバーターの制度なのです。
enmono宇都宮 最近は3Dプリンタの業界が盛り上がっているように、特許の期限が切れてオープンになった時、産業が活性化するように感じています。そうなると、何のために知財を守っているのかという疑問も出てくるのですが、いつ頃からバーター制度の考え方になったのですか?
水野氏 特許権が制度化された時点で、そういう考え方になっていました。「人類の進歩のために知財はある」とした時、発明した人にある期間だけ独占権を与えることによって、皆が頑張って技術開発するだろうと考えたのです。しかし、ビジネスになると企業は、その技術の独占権を1年でも2年でも延命させようとします。企業の論理としては、仕方がないと思いますが。
質疑応答
同イベントは対話のテーマが大きく、ゲストの方々は戸惑われていたようだが、幅広いお話を聞くことができた。参加された方からは、このような質問をいただいた。
参加者A氏 もし、ご自身が携わられた商品が、特許や意匠、実用新案で守られていなかったとします。他の方が同じような商品、改良を加えた商品で事業を展開しようとしているのを目の当たりにした場合、どう思われますか? また、どういうアクションを起こしますか?
藤澤氏 iPhoneケースに関して言えば、費用面のこともあり、海外では一部しか守っていません。同じような商品が出たら出たで、良いと思っています。iPhone Trick Coverを出したことによって、自社を多くの方に知ってもらうことができました。製品を発売して収益を上げるというよりは、宣伝の役割を果たしてくれたのです。マネされたらそれも上手くネタにして、製品をより多くの方に知ってもらうための広告ツールとして使うことができたらと考えています。
なるほど、マネされたことを利用するとは! 参加者の方々のお話も、興味深い内容だった。感想を発表していただいた方もいた。それぞれの皆さんが、熱い熱い思いを語ってくださった。
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