なぜ今3次元CADのデスクトップ仮想化が“使える”ようになったのか:3次元CAD仮想化(2/2 ページ)
シトリックス・システムズ・ジャパンはユーザーイベント「Citrix Mobility」を開催。そのセッションで、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ビジネス開発の大月哲史氏が、3次元CADを仮想デスクトップで扱えるようになった理由と、その価値について解説した。
CAD on VDIの利点とは
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは、もともとIBMのx86サーバの部門をレノボが買収したことにより移行したものだが、IBM時代から仮想デスクトップ環境でのCAD利用を「CAD on VDI」として提案してきた。
それでは、CAD on VDIの利点として、どういうことがあるのだろうか。一般的にデスクトップ仮想化の利点として挙げられる「利用端末の制約からの解放」「さまざまな場所での利用が可能な点」「バージョン管理など統一環境管理」「ガバナンス強化とセキュリティ向上」「運用の一元化」などはそのまま当てはまる。
CADユーザーは、従来は通常業務用のPCとCAD用のワークステーションの2台を使用するような環境が多かったが、CAD on VDIを活用することで、PCで通常業務もCADも利用できるようになる。大月氏は「CADユーザー1人当たりに2台の端末を用意するのは、設備の稼働率の面で考えてもマイナスが大きい。これらの稼働率を高められる他、CADユーザーには自由なワークスタイルが構築できるようになる。従来CADユーザーの働き場所はワークステーションのある場所に縛られてきた。また急な対応が必要であれば休日でも出社が要求されるような場面もあった。しかし、VDIを採用すればどこでも対応可能となる。設計者であっても新たな働き方を考えられるようになる」と利点を語っている。
クライアント端末の価値
レノボでは、CAD on VDIにより得た自由度を生かせる端末としてテーブルトップPCとして同社が提案する「HORIZON」シリーズや、タブレットとデスクトップの両方の利点を備えたコンパチブルウルトラブックの「Helix」シリーズなどを紹介。
大月氏は「CAD on VDIで見過ごされがちなのが、クライアント端末のスペックだ。VDIはサーバ側においたデスクトップ環境の画面イメージを圧縮しネットワーク経由でクライアント端末に飛ばす仕組み。ただし圧縮した画面イメージを解凍するのはクライアント端末のリソースを使う。円滑に作業を行うにはクライアント端末の能力も重要になるため、気を配ってほしい」と注意を促している。
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