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口ベタでも大丈夫! プレゼンテーションのイロハ(その1)レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(9)(3/3 ページ)

プレゼンが苦手な人は「しゃべるのが苦手だからプレゼンも苦手」と思っている人が多い。しかし「口ベタ=プレゼンがヘタ」というわけではない。

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ストーリーのある論理展開

 「サブメッセージを論理的に展開できるかどうかが重要である」と上述しましたが、加えて聞き手を飽きさせないために、ストーリー性を持たせた論理展開ができるとプレゼンの質がグッと高まります。

 ストーリーのある論理展開をするためのポイントは、サブメッセージを、

  1. 必然性
  2. メリット
  3. 実行方法

の順で展開していくことです。

1.必然性

 人間は弱い生き物なので、禁煙やダイエットなど、それをしなくてはならないと分かっていてもなかなか実行できないものです。そのため、あなたがキーメッセージで「○○すべきです」と伝えてもそれだけでは、相手を動かせません。誰しもが、どうしてもそれをしなくてはいけない理由がないと「このままでいいや」と思ってしまうものです。そのため、サブメッセージの論理展開の最初に「そうしなければならない必然性」を伝えることが大切です。

 必然性を伝える上でのポイントは「そうしないとまずいことが起こる」と相手に理解させることです。例えば、「あなたは禁煙するべき」というキーメッセージがあった場合、必然性のサブメッセージとして「タバコを吸っているとガンになる確率が○%高まる」「副流煙の受動喫煙により家族にも悪い影響がある」などタバコを吸ったままでは、こんなまずいことが起こる具体的な根拠をそろえていきます。

2.メリット

 必然性を伝えるステップでは、こんなまずいことが起こるというデメリットを強調しましたが、次のステップでは「それをしたらどれだけいいことがあるのか」というメリットをサブメッセージとして伝えます。禁煙の例でいえば、「口臭が改善される」「タバコ代が節約できる」など「禁煙するとこんないいことがある」というメリットを伝えます。この必然性(デメリット)からメリットへの展開こそが、聞き手の関心を引き付ける上での大切なポイントになります。デメリットとメリットのギャップが大きければ大きいほど、聞き手はプレゼンターの主張に同意してくれるようになります。

3.実行方法

 メリットを伝えるステップで、プレゼンターの主張に納得してもられたら、それで終わりではありません。最後のサブメッセージとして「どうすればそれが実行できるのか」という具体的な実行方法を伝えるようにします。禁煙の例でいえば、「禁煙外来を受診して禁煙補助薬を処方してもらう」などです。「こうすればあなたにもできますよ」という実現可能性を伝えることで、「よし早速やってみよう」と聞き手の背中を押すことができるようになります。

 以上、ストーリーのある論理展開をまとめると図3のようになります。


図3 ストーリーのある論理展開

 サブメッセージを必然性、メリット、実行方法の順に展開していくことで、プレゼンにストーリー性を持たせながら、あなたの主張(キーメッセージ)を伝え、聞き手を動かすことができるようになるのです。


 今回は、プレゼンの基礎として、悪いプレゼンの典型的なパターンとコンテンツについて解説しました。日本人はプレゼンがヘタとよく言われますが、その理由の1つがプレゼンと説明の違いを認識していないことだと筆者は考えています。特に、人前で話すことが苦手は人ほど、しっかり準備しようという思いが悪い方向に働き、より説明的なプレゼンになりがちです。

 いきなりスライドを作り始めるのでなく、今回解説をしたキーメッセージとストーリーのある論理展開を意識しながら、手書きでも構わないので、プレゼンの全体像をまとめる作業から始めることをお勧めします。そうすることで、自身の頭の中もすっきりとして「プレゼンの最中に言いたいことを忘れたどうしよう」といった不安は解消できるでしょう。

 次回は、スライドの作り方やプレゼンの話し方など、プレゼンのもう1つの構成要素である「デリバリー」について解説します。

参考文献

  • 「プロフェッショナルプレゼンテーション」(土井哲・高橋俊介 著 東洋経済新報社)
  • 「マッキンゼー流プレゼンテーションの技術」(ジーン・ゼラズニー 著 数江良一/菅野誠二/大崎朋子 訳 東洋経済新報社)
  • 「スティーブ・ジョブズ驚異にプレゼン」(カーマイン・ガロ 著 瀬川弘司 訳 日経BP社)
  • 「ビジネスは、毎日がプレゼン」(村尾隆介 著 同文館出版)

Profile

小山新太(こやまあらた)

MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。



MPAについて

「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。

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