口ベタでも大丈夫! プレゼンテーションのイロハ(その1):レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(9)(2/3 ページ)
プレゼンが苦手な人は「しゃべるのが苦手だからプレゼンも苦手」と思っている人が多い。しかし「口ベタ=プレゼンがヘタ」というわけではない。
プレゼンは「コンテンツ」と「デリバリー」から成り立っている
それでは、プレゼンの基本について解説していきます。まず、そもそも「プレゼンとは何か」ということから考えてみます。プレゼンを構成する要素に分解してみると、大きく「コンテンツ」と「デリバリー」の2つの要素に分解できます。コンテンツとは、「プレゼンの内容そのもの」のことです。そして「デリバリー」とは、「内容を伝達するための手段のこと」です。料理に例えるならば、コンテンツは料理の味、デリバリーは料理の盛付けという感じです。コンテンツとデリバリーのどちらが大切なのかというと、両方とも同じくらい大切です。なぜなら、いくら味付けが良くても盛り付けがメチャメチャな料理は食べる気がしないでしょうし、見た目がきれいな盛付けでも、味付けがまずければ食べた後は不快な気持ちになるのと同じだからです。
図1にあるようにコンテンツは、さらに「キーメッセージ」と「論理展開」に分けられます。
キーメッセージとは、そのプレゼンで最も伝えたいメッセージ(自分の主張)のことで、論理展開とは、キーメッセージを伝えるための話の展開のことです。デリバリーは、スライドの見せ方やプレゼンターの話し方に分けられます。
キーメッセージの作り方
あなたが自社の社長に対して、新製品のアイデアを60分でプレゼンすることになっていたとします。あなたは、その準備を3カ月かけてようやく終え準備万全で本番を迎えました。しかし本番直前に、社長が急に海外出張に行くことになり、「1分でプレゼンしてくれ」と言われてしまったらどうでしょうか? 「そんなの無理だー」と嘆いている時間はありません。その1分であなたが社長に伝えるべき内容はなんでしょうか? それこそがキーメッセージなのです。
プレゼンの準備で最初にやることはキーメッセージを決めることです。言っていることはもっともらしいけれど、結局何を言いたいのか分からないプレゼンは、キーメッセージがはっきりしていないことが原因であることがほとんどです。キーメッセージの作る上でのポイントは、主語を「あなた」にすることです。
例えば、自社製品を売り込むためのプレゼンの場合、
1.「私はあなたにこの製品を買ってほしいです」
というメッセージは、「私」が主語になっていますが、主語を「あなた」に変えると
2.「あなたはこの製品を買うべきです」
となります。1と2の違いはどこにあるでしょうか? 2の方は、「なぜ私が買うべきなのか?」というキーメッセージに対する疑問が浮かびます。この疑問が浮かぶということが大切なのです。なぜならば、疑問が浮かぶからこそ話の続きが気になり、聞き手の関心を引き起こすことができるようになるからです。そして、このキーメッセージの疑問に答える形で、その後のプレゼンを展開していきます。つまり、キーメッセージとは、そのプレゼンで一番大事な疑問を聞き手に抱かせる言葉ということです。
キーメッセージを頂点としたピラミッド型の論理展開
キーメッセージが決定したら、次のステップは聞き手に浮かんだ疑問に答えるべく、プレゼンを展開していくことです。その展開方法とは、キーメッセージを頂点にして「サブメッセージ」を作っていくことです。サブメッセージは、あなたが一番伝えたいメッセージであるキーメッセージを支える役割を果たします。キーメッセージで浮かんだ疑問に対して具体的に回答していくのがサブメッセージとなります。サブメッセージが論理的に展開できるかどうかは、プレゼンの成否を分ける重要なポイントとなります。そして、各サブメッセージには、サブメッセージを証明する根拠となる客観的な事実やデータ、分析結果などをそろえていきます。
最終的には、プレゼンの論理展開は図2のようにキーメッセージを頂点とした、ピラミッド型になります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.