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口ベタでも大丈夫! プレゼンテーションのイロハ(その1)レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(9)(1/3 ページ)

プレゼンが苦手な人は「しゃべるのが苦手だからプレゼンも苦手」と思っている人が多い。しかし「口ベタ=プレゼンがヘタ」というわけではない。

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本連載の登場人物

カ

小山田和成(オヤマダカズナリ)

中小ソフトウェアメーカーに勤務するエンジニア。入社8年目の30歳。技術力においては社内から一目置かれる存在で今年から係長に昇格。しかし、奥手な性格でコミュニケーションは苦手。通称「カズ君」。

レ

杉本麗子(スギモト レイコ)

外資系ソフトウェアメーカーにて人事部長を歴任。その後、中小企業診断士を取得して独立。現在は、「ツンデレ」キャラを生かして売れっ子の人事コンサルタントとして活躍中。通称「レイコ先生」。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


レ

カズ君、交渉の仕事は上手くいったかしら?


カ

ええ、レイコ先生のおかげで、なんとか乗り切ることができたんですけど、今度は、来年の新製品のプランを全社員の前でプレゼンテーションすることになってしまって……。


レ

あら、すごいわね! あーそろそろ年末か。早かったわねー。


カ

そんなのんきに今年を振り返ってないで、いつもみたいに助けてくださいよー。プレゼンテーションなんて僕が一番苦手な仕事ですよ。人前に出るだけで、頭の中が真っ白になってしまうんですから……。


レ

オダマリ!! いつも私が助けくれると思ったら大間違いよ! 自分でなんとかしなさい!


カ

ヒィーーー!! そんなこと言わずにお願いしますよー、レイコ先生〜(泣)。


レ

もう、しょうがないわね。それじゃあ、今日はプレゼンテーションの基本について教えてあげるわね。


カ

ありがとうございます!


悪いプレゼンの典型的なパターン

 プレゼンテーション(以下、プレゼン)は、仕事をする上で今や欠かすことができないスキルとなっています。「どうすればプレゼンが上手くなるのか?」、「プレゼンが得意になりたい」と、多くの人が一度は思ったことがあるはずです。プレゼンが苦手な人は「しゃべるのが苦手だからプレゼンも苦手」と思っている人が多いようですが、「口ベタ=プレゼンがヘタ」というわけではありません。基本を押さえてしっかりと準備をすれば誰でも、しっかりとしたプレゼンができるようになります。

 それではプレゼンの基本を学ぶ前に、悪いプレゼンの典型的なパターンを2つほど紹介します。自分に当てはまる部分がないかどうかチェックしながら読んでみてください。

1.プレゼンではなく説明になっている

 プレゼンが上手くなるためには、「プレゼン」と「説明」が違うということを理解する必要があります。例えば、自社の新製品のプレゼンをする時に、その製品の機能を説明するだけで終わっているケースをよく見掛けます。製品カタログに書かれている内容をそのまま読み上げているような感じです。

 では、プレゼンと説明の一番の違いは何かというと「相手に伝えたいメッセージ」があるかないかという点です。相手に伝えたいメッセージというのは、別の言い方をすれば「自分の主張」です。そのため、「プレゼンの内容を考える」ということは、「自分の主張を相手に理解してもらうためにはどうすればよいのかを考える」ということです。具体的には、「その主張を裏付ける根拠は何なのか」「根拠にはどのような客観的データを使えばよいか」などを考えていくことです。

 もちろん仕事では、説明の要素が求められる場合もあります。例えば、新入社員に対して自社の情報システムの使い方を教える場合などは、「説明」になります。

 プレゼンという言葉が一般的になり、プレゼンと説明の違いを混同してしまいがちですが、自分の行おうとしていることがどちらなのかをはっきりと意識することが大切です。

2.プレゼンターではなくスライドが主役になっている

 プレゼンの準備というと、いきなりパワーポイントやキーノートを立ち上げてスライド作成に取り掛かる人がいます。フォントの大きさや、配色、アニメーションなど、見せ方を工夫して見栄え良いスライドを作り上げることは必要なことです。しかし、残念ながら、プレゼンでスライドはあくまでも、話し手(プレゼンター)を補助する役割に過ぎません。プレゼンの主役はスライドではなくプレゼンターなのです。スクリーンの脇に立ち、聞き手に目を向けずにスライドが映ったスクリーンばかりを見ながら話すプレゼンターをよく見掛けますが、これではメッセージは相手には伝わりません。

 プレゼンテーションの良いお手本がたくさん見られる「TED」に登場するプレゼンターは、ほとんどがスクリーンの前に立っています。そして、スライドが映ったスクリーンには目もくれずに聞き手に視線を向けながら話し続けています。これこそがプレゼンのあるべき姿です。プレゼンへの苦手意識が強い人ほど、プレゼンの最中に言いたいことを忘れてしまったらどうしようという不安からスライドに自分が話す内容を全て書いてしまいがちですが、これではプレゼンをする意味はありません。極端に言えば、資料を配布して終わりで良いはずです。

 プレゼンと説明の違いは、相手に伝えたいメッセージがあるかないかと上述しましたが、メッセージを伝えるのは、スライドではなく、プレゼンター自身なのです。

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