トヨタの燃料電池車「ミライ」は「あえて4人乗り」、プレミアム感と走りを重視:日本科学「未来」館で発表(4/4 ページ)
トヨタ自動車は、セダンタイプの新型燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を2014年12月15日に発売する。税込み価格は723万6000円で、国内販売目標台数は2015年末までで約400台。プレミアム感と荷室の広さ、そして走りの楽しさを重視したこともあり、5人乗りではなく4人乗りとなった。
「無理に5人乗りにこだわらない」
ミライでは、小型化したFCスタックと昇圧コンバータを一体化したユニットが前部座席の床下に収められている。走行用モーターやパワーコントロールユニットはエンジンルーム、水素タンクとニッケル水素電池は車両後部に配置した。
これら燃料電池車の主要部品をバランスよく配置することで、前輪駆動でありながら車両の重量配分を前58:後42にすることができた。FCスタックと昇圧コンバータの床下配置で低重心化も図られている。補強部材を追加することで捻り剛性をFCHV-advよりも40〜60%高めるなどして車体剛性も高めた。さらに、低回転時に大きなトルクを出せるモーターの特性も加わって、「コーナリングのときにアクセルを踏んでも振られない、しっかりとした走りを実現できた」(ミライの開発責任者でトヨタ自動車 製品企画部 ZF 主査を務める田中義和氏)という。
このように走行性能を妥協しなかった一方で、前部座席の床下に収めたFCスタックと昇圧コンバータの影響により、後部座席中央部の足回りの余裕がなくなった。田中氏は、「そこで、後部座席をセパレートシートにして、大人4人がゆったり乗れる、プレミアム感のある車室構成にした。また荷室についても、9.5インチのゴルフバッグが3個入るレベルの容積を確保している。700万円という価格帯のクルマである以上、無理に5人乗りにこだわるのではなく、プレミアム感と荷室の広さ、そして走りの楽しさを重視した」と説明している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ホンダのセダンタイプ燃料電池車はなぜ5人乗りを実現できたのか
ホンダが発表したセダンタイプの新型燃料電池車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」は5人乗りを実現している。トヨタ自動車は、同じセダンタイプの燃料電池車「ミライ」を2014年内に発売するが4人乗りだ。両車の違いはどこにあるのだろうか。 - トヨタが年内に発売する燃料電池車、名称は「ミライ」に
トヨタ自動車が新型のセダンタイプの燃料電池車の車名を「MIRAI(ミライ)」にすると発表した。 - トヨタが2014年度内に発売する燃料電池車、乗車定員はなぜ4人なのか
トヨタ自動車が2014年度内の量産販売を予定しているセダンタイプの燃料電池車は乗車定員が4人だ。一般的なセダン車の5人よりも乗車定員が少ないのはなぜか。 - 燃料電池車の本格普及にはSiCインバータが必要だ
CO2を排出しない次世代環境対応車としてだけでなく、今後の発展が期待される水素エネルギー社会のけん引役としても期待されている燃料電池車。日産自動車は、その燃料電池車の市場投入を表明している自動車メーカーの1つである。そこで、同社で燃料電池車の研究開発を担当する飯山明裕氏に、燃料電池車の本格普及に向けた課題などについて聞いた。 - トヨタが燃料電池車の価格を700万円に低減、ハイブリッド車と部品を共用
トヨタ自動車はセダンタイプの燃料電池車の量産モデルを公開。日本では2014年度内(2015年3月末まで)に発売し、価格は700万円程度を予定している。燃料電池車固有の部品を除き、ハイブリッド車との部品共用でコスト削減につなげたという。