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タイヤを最後の最後まで使い切るセンサー技術、ブリヂストンが開発:タイヤ技術(4/4 ページ)
ブリヂストンは加速度センサなどを利用して、タイヤの摩耗具合を検知できる新技術を開発したと発表。同社が開発を進めているタイヤセンシング技術群「CAIS(カイズ)」のコンセプトに基づくもので、商用車で行われているタイヤのローテーション時期の把握などが可能になるという。
CAIS1〜3の統合も検討
今回発表したCAIS3では、1個の加速度センサーを使ってタイヤの摩耗度を計測している。しかしタイヤの摩耗は、運転のやり方などによって、タイヤの端部や中央部などに偏って進むことも多い。タイヤの摩耗度の指標となるタイヤ溝の深さは、タイヤ溝が4本ある場合には、全て同じように浅くなるわけではない。若尾氏は、「これらタイヤの各部の摩耗度を検知するのに複数のセンサーを使うと、コストが大幅に増大してしまう。1台のセンサーで全てまかなう必要があると考えている」と語った。
また、CAIS1ではタイヤと路面の接地面のひずみを、2台のひずみセンサーで検知してクルマの各タイヤに掛かる荷重や力の分配を測定している。路面の凍結や乾燥といったさまざまな状態を判定するCAIS2では、CAIS3と同様に加速度センサーを利用している。しかし、タイヤの回転方向となる周方向の加速度を検知するセンサーであるという点に違いがある。
このようにCAIS1〜3は、全て異なるセンサーを利用しているが、若尾氏は「コスト面の課題などはあるが、将来的にMEMSセンサーの技術が進歩すれば、1つのセンサーで全ての計測が行えるのではないかと期待している」と語った。
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