スパイバーと小島プレス、クモの糸を再現する新素材「QMONOS」の生産体制を強化:ベンチャーニュース
ベンチャー企業のスパイバーと小島プレス工業は、人工のクモの糸「QMONOS」の生産拡大に向けて山形県鶴岡市内に新設備を建設すると発表。QMONOSに関連する事業を推進するため、両社の共同出資による新会社Xpiberも設立し、生産体制を強化する。
人工のクモの糸「QMONOS」の開発を手掛けるベンチャー企業のスパイバーと、自動車部品メーカーの小島プレス工業は2014年9月29日、QMONOSの生産拡大に向けた新設備を山形県鶴岡市内に建設する計画を発表した。同年9月上旬に着工しており、2015年上旬の稼働開始を予定している。
また、両社はQMONOSに関する事業の効率化を推進するため、共同出資で新会社Xpiber(エクスパイバー)を9月26日付けで設立した。同社の代表取締役は、スパイバーの取締役兼代表執行役の関山和秀氏が務める。資本金は4億5000万円。
QMONOSは、昆虫やクモ類が生成するタンパク質の一種である「フィブロイン」を基に作られるバイオ素材。繊維やフィルム、ナノファイバーなどさまざまな形態に加工することが可能で、高い強度と柔軟性を備えている。また、原料を石油に依存しない環境負荷の少ない素材としても注目されており、工業化が期待されている。
スパイバーと小島プレス工業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」の一環として、2013年11月から山形県鶴岡市に開設した月間生産能力100kgを備える試作研究施設「PROTOTYPING STUDIO」で、QMONOSの量産や紡糸プロセスなどの検証を行っていた。また、両社はこれと並行してQMONOSの新たな生産設備である「次世代型パイロットライン」の研究開発を進めてきた。
今回設立を発表した新設備は、次世代型パイロットラインの開発・導入や、さらなる研究開発機能の増強、QMONOSの事業拡大に向けた人員の増加に備え、PROTOTYPING STUDIOに隣接する土地にスパイバーと小島プレス工業が共同で建設する。延べ床面積は6600m2で、これはPROTOTYPING STUDIOの約6倍の規模になるという。将来的には、QMONOSの年間生産能力を20トンまで拡大させるとしている。
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