ユニバーサルロボット、起動後すぐに使える産業用ロボットアームを投入:FAニュース
産業用ロボットアームを展開するデンマークのユニバーサルロボットは、主力の軽量型ロボットアームの新世代機を発表。アブソリュートエンコーダや新たなセーフティ機能などを搭載し、利便性を向上させている。
産業用ロボットアームを製造するデンマークのユニバーサルロボットは2014年8月22日、同社の主力商品である軽量ロボットアーム「UR5」と「UR10」の新世代機を発表した。
ユニバーサルロボットは2005年創業の産業用ロボットベンチャー。軽量で自由度の高い産業用ロボットアームを展開しており、欧州などでは人間とロボットの共同生産ラインなどで高い評価を受けている。
今回新たに発表された新製品は、主力製品として展開するUR5とUR10の改良モデル。UR5とUR10は6軸を持つロボットアームで、軽量でタッチパッドによる優れた操作性を持つことが特徴。可搬重量はUR5が5kg、UR10が10kgだ。
新世代機での最大の改良点は、アブソリュートエンコーダを搭載したことだ。従来のロボットアームでは、起動時に現在の位置データを把握するために、原点を確認し、現在のアームの位置を確認する「初期化時のジョギング」が必要だった。しかし、アブソリュートエンコーダを搭載することで絶対位置を電源を切った時でも把握し続けることができるために、電源を入れるとすぐに動作させることが可能となる。そのため別の機械にも容易に組み込むことが簡単になった他、さまざまな用途で起動を迅速かつシンプルに行えるようになった。
また、特許技術である8つのセーフティ機能(ジョイントの位置と速度、TCP位置、向き、速度と強さ、ロボットの推進力)を搭載し、これらを監視することで事故を未然に防ぐことが可能となる。セーフティ機能は、「通常」と「減速」の2つの動作モードで実行でき、ロボットアームの動作中に変更可能。例えば、ロボットの作業セル内に人が侵入するとロボットは減速モードで作業を続け、人がセルの外に出るとフルスピードに戻す、というような使い方ができるという。また、CNCマシン内ではフルスピードで作動し、外に出ると減速モードに切り替わるという使い方なども可能だ。
これらの新機能を含めた新世代機のセーフティシステム「UR Safety 3.0」は、TÜV Nordによる認定を受けており、EN ISO 13849:2008 PL dおよびEN ISO 10218-1:2011第5.4.3節に従ってテスト済みだという。
新世代機の販売開始は、2014年9月を予定しているという。
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