ハイブリッドレースカーが火花を散らす、今WECがアツイ!:今井優杏のエコカー☆進化論(12)(5/5 ページ)
F1と並んで、現在注目を集めている自動車レースの世界選手権がある。2012年から始まったFIA世界耐久選手権(WEC)だ。今回は、ハイブリッドレースカーだけが参加できるトップカテゴリーの「LMP1-H」に参戦しているトヨタ自動車を中心に、WECの魅力をお伝えしよう。
速くて楽しいハイブリッド車はもう夢じゃない?
それでは今回のまとめ。
F1ですら、ダウンサイジングエンジンやKERS(運動エネルギー回生システム)を使ってどんどんマシン重視のレースに変わりつつあります。しかし、素性からしてマニファクチャラーのためのWECというレースがあって、ここまでハイブリッドシステムをスパルタンに鍛え上げている場があるということを、いちモータースポーファンとして、知ってもらいたかったのです。
今回はトヨタチームに触れましたが、もちろん絶対王者アウディも、そして最多優勝記録を持つ古株・ポルシェも、それぞれの哲学にのっとって、本気の技術戦争を繰り広げています。
レースのレギュレーションは時代の流れとともにどんどん変化していきます。そしてそのリクエストに完全に応えた者だけが、勝利をつかみ取ることができる……。何ともシビれる世界観じゃないでしょうか。
しかもWECの技術は遠いお国のたっか〜いスポーツカーだけに搭載される技術じゃない。レンタカーにも搭載される街のハイブリッド車のボンネットにも通じていると思ったら……ちょっと興味が沸きませんか?
トヨタの事例ではありますが、ここ数年、最先端技術開発部門とモータースポーツ部門の意見交換・技術共用は活発に行われているそうです。
そう、速くて楽しいハイブリッド車は、もう夢ではないのかもしれません。
もひとつ言うなら、来年(2015年)には日産自動車/NISMOが、トヨタと同じLMP1に参戦することがすでに発表されています。ホンダのF1復帰もそりゃ楽しみですが、こっちのガチハイブリッドバトルも絶対に見逃せない!
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