規制開始まで1年を切る「トップランナーモーター」についておさらい:TECHNO-FRONTIER 2014 開催直前情報(2/2 ページ)
2015年4月から規制開始となる産業用モーターの「トップランナー基準」による省エネ規制。産業用モーターメーカー各社は規制に対応した「トップランナーモーター」のリリースを加速させている。注目が高まる中、あらためて産業用モータートップランナー基準についておさらいしておく。
規制の適用範囲は?
今回規制の対象となるのは、日本工業規格JIS C 4034-30「回転電気機械−第30部:単一速度三相かご形誘導電動機の効率クラス(IEコード)」で規定される三相誘導モーターで、以下の7つの条件を満たすものだという。
- 定格周波数または基底周波数が、50Hz ±5%のもの、60Hz ±5%のもの、または50Hz ±5%および60Hz ±5%共用のもの
- 単一速度のもの
- 定格電圧が1000V以下のもの
- 定格出力が0.75kW以上375kW以下のもの
- 極数が2極、4極、6極のもの
- 使用の種類が「電動機が熱的な平衡に達する時間以上に一定負荷で連続して運転する連続使用のもの」「電動機が熱的平衡に達する時間より短く、かつ、一定な負荷の運転期間および停止期間を一周期として、反復する使用で、一周期の運転期間が80%以上の負荷時間率を持つもの」に該当するもの
- 商用電源で駆動するもの
ただ、ポンプやファンなどの機械に組み込まれ分離して試験できないものや、インバータ駆動専用に作られたものについては除外される。また適用範囲内であっても、特集用途のものや技術的な測定方法や評価方法が確立していないもの、市場での使用割合が極度に小さいものについては、一部で適用除外されるものもある。
実際の基準値は?
実際に2015年4月の規制開始後にクリアしなければならない基準値は、以下の通りとなる。
また、この基準値を算出する式は以下の通りとなっている。
全てがトップランナー化すれば155億kWh/年の省エネ
トップランナーモーターはJIS C 4210(2010)規格値と比較すると約35%の損失低減効果が期待できるとされている。トップランナー化により、日本国内のモーターが、全てIE3クラスのモーターに置き換えられたとすれば、期待される電力削減量は、日本全国の全消費電力量の約1.5%である155億kWh/年間になる。高効率モーターは単純に消費電力削減に役立つだけでなく、コスト削減にもつながる。
ただ現状では、産業用モーターメーカーは対応製品の投入を加速させる一方、これらを機器に組み込むユーザー企業の認識には温度差が見えるという。省エネ技術は日本が強みを持つ分野である。今後の認知度向上が求められている。
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