パナソニック、PP・PS・ABSを従来比3倍で処理する樹脂リサイクル技術を開発:FAニュース
家電の解体工程で発生し、従来廃棄あるいは燃料となっていたシュレッダーダストから、3種類の樹脂を同時に選別・回収。飛翔軌道の気流最適制御、高精度エア吐出技術、高速信号処理により、処理速度は従来比3倍になった。
パナソニックは2014年6月20日、家電のリサイクル工場で発生するシュレッダーダストから、PP・PS・ABSの3種類の樹脂を同時に選別・回収するリサイクル技術を開発したと発表した。
同社では、家電の解体工程で発生し、従来は廃棄するか燃料としていたシュレッダーダストから、近赤外線識別技術を用いて樹脂を高精度で選別し、リサイクルする技術を2010年に開発。しかし、3種類の樹脂ごとに装置の切り替えが必要とされていた。
今回開発した新技術では、シュレッダーダストの樹脂片から、純度99%を超える精度を維持したまま、3種類の樹脂を同時に選別・回収できる。
同技術ではまず、飛翔軌道の気流最適制御により、樹脂形状によらず同一の飛翔軌道に抑制する。エアの吐出時間や位置等を最適化した独自の高精度エア吐出技術で、3種類の樹脂を同時に高精度に選別・回収。さらに高速信号処理によって、樹脂判定やエアノズルへの出力を3連同時に制御する。これにより処理速度は、従来比で3倍になった。
現在、同技術を導入した装置は、パナソニックエコテクノロジーセンターで稼働中。同社では、今後はグループ内のリサイクルプラントにも導入するなど、リサイクル樹脂の活用拡大を目指すとしている。
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