ディズニーの夢と魔法を実現する最新テクノロジーの世界:イマジニアによる最先端VR・AR活用(4/4 ページ)
ウォルトの作りし世界を記録するメディア「dpost.jp」を運営する宮田健氏による講演リポート。今回は、「第22回 3D&バーチャル リアリティ展」の特別講演「ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの技術と魔法 〜最新アトラクションにおけるVR・AR活用の最先端〜」の様子をお届けする。
バーチャルリアリティをデザインツールとして応用した「DISH」とは
ディズニーにおけるVRの取り組みは、このようにアトラクションなどでゲストを楽しませることに有効だということが分かる。さらにディズニーはVRを使い、デザインツールとしても活用しているという。
ウォルト・ディズニーがディズニーランドを建てる際、まずミニチュアを作り、来場者の視点でどのように見えるのかを確認してから建築を行っていたそうだ。しかし、今やその作業は全てVRモデルで行われている。ミネ氏は「実際に、建物を構築するのは大変なことなので、バーチャルな世界で建設して、前もって体験する。作った後で壊すより、ピクセルを直す方が楽だ」と述べる。
VRテクノロジーを作って設計した最初のアトラクションは、2000年9月1日に東京ディズニーランドにオープンした「プーさんのハニーハント」だという。VRモデルの中で色合いやライドの感触も実現し、動きもこの中でチューニングしたという。
そのVRモデルをもとにしたツールが「DISH」と呼ばれるショールームだ。DISHは複数のプロジェクターを用い、複数の人間が同時に映像内に没入できるシアターで、アトラクションやエリア設計で活用されている。ヘッドトラッキング、3D映像の投射も可能で、現在活用されている「DISH2.0」では4K映像による360度のサラウンドプロジェクションを実現している。
DISHを利用することで、アトラクションやエリアデザインの早い段階から課題を検証できるという。アナハイムのディズニー・ランドに併設されているディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーで2011年にオープンした「カーズランド」や、現在建設が進んでいる上海ディズニーランドの建設でも活用されている。その他にも、新たに建築するレストランにおいて、シェフによる冷蔵庫の配置確認などをこのDISHで行っているとのことだ。
ディズニーは、このDISHをカリフォルニア、フロリダ、そして上海に配置しており、その3箇所で同じ映像を見ながら、アトラクションなどのチェックを行う体制を取っているという。
ウォルト・ディズニーが目指した未来
ディズニーは、今後も新たなエンターテインメントを創出するために、さまざまな技術を研究しているという。「将来のディズニーテーマパークへ新たなテクノロジーを送り出すために、高い輝度、解像度、フレームレートを実現し、現実感のある絵を作る」(ミネ氏)。
ミネ氏は注目技術として、「レーザープロジェクション」「LED発光ディスプレイ」などを挙げる。レーザープロジェクションは光源にレーザーを用いることで、高い輝度、かつ長寿命な投射が可能となるもので、効率の高い3D映像を投射できる。LED発光ディスプレイが一般化すれば、密度の高い映像を曲面をはじめとするさまざまなフォームファクタで投影できるようになる。
これらの技術を使う際、ミネ氏が念頭に置いていることは、来場者がこれによりどんな経験をするかということだ。「没入感があるスペースを提供する。テーマパークは、没入感があってインタラクティブでリアルタイムな環境が提供できる場所だ」(ミネ氏)。
ミネ氏は最後に創始者、ウォルト・ディズニーに触れる。「ウォルトは常に未来を見ていた。私たちは、未来は明るいと信じている――」。
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