【設計初心者向け】設計ですべらない! 金型基礎知識ダイジェスト:3次元ツール特訓講座「3D道場」より(3/3 ページ)
「3DDS in CUBE」で開催中の「【すべらない金型の話】(初級編)」より、製品設計者が押さえておきたい金型知識のダイジェストをお届けする。
残念な設計はどう変わるか
さて、最初に見た「つっこみどころ満載」の基板ケースは、前述のポイントを抑えるとどう変わるのか。
まず勾配が全くなかったので、抜き勾配を付ける。肉厚は一般形状もリブも一定だったので、リブの表側がヒケてしまわないようリブを細くし、勾配も付ける。
2カ所の横穴は、一方は何らかのボタンがはまると想定して、ボタンが落ちてしまわないよう丸のまま。そのためアンダーカットが必要になる。もう一方はコードを通すだけと想定して、横穴の下を抜いてアンダーカットを解消する。
はめ込みのボス状部分は肉厚が厚く、ヒケてしまうか、ボイドが入ってしまう可能性があるので、くりぬいて肉厚を均一にする。
落合氏 試作で最初にお見せした形状で作っていると、量産向けの製品設計にすることで、かなりイメージが変わってしまう可能性があります。試作段階から金型を考慮して設計されていれば、試作が3Dプリンタであっても、切削であっても、イメージ的に変わらずに量産に移行することができます。試作の段階で量産がイメージできていると、その後が間違いなく早くなります。今は製造のサイクルタイムが短いので、全てとはいわないまでも、ある程度金型のことが考慮されていると随分違うと思います。
杉山氏 ボス部分の肉厚を均一にするためにくり抜いたことで、表にくぼみができています。このくぼみがデザイン的にNGだとすると、根本的にはめ込みの設計を変えなければなりません。例えば、細い十字のリブとそれを受けるような形状にするとか、そもそも機構自体を変えてしまうとか。「表面は平でないと困る」など、変えてはいけないことは金型の製作側に伝えておくと、後々後悔しなくて済むのではないかと思います。
落合氏 一番理想的なのは、最初の施策の段階で、金型設計が分る人か、金型屋さんを交えて打ち合わせができること。その後の工程はすごくスムーズにいくはずです。
筆者紹介
杉本恭子(すぎもと きょうこ)
東京都大田区出身。
短大で幼児教育を学んだ後、人形劇団付属の養成所に入所。「表現する」「伝える」「構成する」ことを学ぶ。その後、コンピュータソフトウェアのプログラマ、テクニカルサポートを経て、外資系企業のマーケティング部に在籍。退職後、フリーランスとして、中小企業のマーケティング支援や業務プロセス改善支援に従事。現在、マーケティングや支援活動の経験を生かして、インタビュー、ライティング、企画などを中心に活動。
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