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“真のグローバル開発体制”を実現するには何が必要か設計・開発 次の一手(1/3 ページ)

製造業を取り巻く環境は大きく変化しており、“グローバル展開を最適に行う”ということが大きなテーマとなりつつある。その中で生産だけでなく設計・開発においてもグローバル化に最適な体制構築が求められている。“真のグローバル開発体制”を実現するには何が必要か。製造業の設計・開発の現場に携わり続けてきた筆者が解説する。

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 グローバル化の波が巻き起こる中、求められる最適な体制とは何か。設計・開発においてもグローバル化への動きが加速している。なぜ設計・開発においてグローバル体制の構築が求められているのか。また、グローバル体制を構築するためには何が必要か。製造業の設計・開発の現場に長年携わり、現在はPLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)領域を中心としたコンサルティングを行う筆者が解説する。




製造業を取り巻く環境の激変

 日本の製造業各社の状況が徐々に好転している。業界や企業規模によってその度合いはさまざまではあるが、過去数年低迷を続けていた状況を抜け出しつつあるといえそうだ。これは単に為替動向や“アベノミクス”と称されるいくつかの経済政策が追い風になっているだけでなく、この不況期に企業が「筋肉質な」組織に生まれ変わった、ということも寄与している。では、日系製造業がさらに成長を遂げるために、取り組むべきテーマは何であろうか。そのことを考える上で、まず、グローバル市場拡大がもたらす影響から見ていきたい。

グローバル市場展開に伴う製品ニーズの多様化

 人口減少により国内市場の拡大が見込めない中、製造業の持続的発展のためには、市場として海外を視野に入れることは必然となっている。国内と海外の売上比率が逆転し、海外偏重となっている企業も多い。成長市場を見た場合、注目しなければならないのが、新興国(特にアジア)の成長だ。成熟が進む先進国に対し、新興国は人口の増加や国民の生活水準の向上が顕著で、市場としての大幅な成長が見込める。

図1:アジアの都市化率の推移
図1:アジアの都市化率の推移

 図1を見てもらいたい。アジアでは都市化率が急速に上昇しており、急速に豊かになっていることが分かる。都市化率は収入以外にも、都市の住民の生活形態の変化をもたらし、その結果として製品の消費を促す。

 一方で注意しなければならないのは、新興国がその国固有の気候風土、宗教や文化の特性により、さまざまな種類の要件・嗜好を持っているということだ。例えばある二輪車メーカーでは、東南アジアの国においては、道路事情はもちろん、バイクの乗員数、積載量、積載物の種類が日本と全く異なるため、そういう用途に対応する派生種の製品を開発しているという。

 また成熟した先進国市場においても、市場の自然増がない中、需要を伸ばし販売シェアを獲得するためには、世代層や文化グループの分化など、より深く趣味嗜好に合った製品を投入していかなければならなくなっている。

 これらのことを考えると、新興国と先進国いずれにおいても、今後製造業は、これらの多様な要望に対応した製品を、限られた資源で市場に投入することが求められているということがいえる。

グローバル拠点に求められる役割の変化

 新興国市場状況で成功するためには、前項で述べたような多様性への対応の他にも、製品コストにおいて今までと異なるアプローチを取る必要が出てきている。その1つの例としては、現地サプライヤを活用した、現地調達推進による原価低減がある。これらを実現するためには、海外拠点の役割も従来の「販売(輸出商品のディーラー・サービス)」だけでなく、「生産(現地調達、人件費の優位性活用)」や「開発(現地ニーズの即応)」などの機能が求められるようになってきている。(図2

バリューチェーンの機能別海外市場進出
図2:バリューチェーンの機能別海外市場進出 (出典:経済産業省 2013年度ものづくり白書)(クリックで拡大)

 この図からも分かる通り、もはや「日本で生産し、海外で販売する」という単純な図式は過去のものとなっている。まさにグローバルネットワークを前提としたオペレーションの巧拙が製造業としての成否として問われてきている。そのため、ICT基盤についてもグローバルなオペレーションに対応できるものが必要になってきている。

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