「カリフォルニアT」でも貫き通す“フェラーリらしさ”とは:フェラーリCEO アメデオ・フェリーザ氏 インタビュー(2/2 ページ)
フェラーリの市販車部門は、週末にサーキットで走りを楽しむようなスーパー・スポーツカーの他に、日常的に乗用できる「GTカー」をラインアップしている。同社CEOのアメデオ・フェリーザ氏に、GTカーの最新モデルである「カリフォルニアT」や、Apple(アップル)の「CarPlay」を採用した経緯などについて聞いた。
「アップルとは良い関係」
もう1つ、GTカーのカテゴリーに属するFFにも大きな話題があった。アップルの「iPhone」と車載情報機器を連携して利用できるCarPlayへの対応である。詳細は、こちらの記事で詳しく紹介しているが、フェリーザ氏にCarPlayの採用にいたった経緯を聞いた。
「アップルとは良い関係を保っています。お互いに技術的な協力相手を探していた時期、2年ほど前にアップルから打診があって、CarPlayのプロジェクトをスタートしました。スポーツ走行を重視するモデルより、GTカーの性格を持つFFに求められる機能だと判断して採用しました」(フェリーザ氏)。
「iPhoneをクルマにつなげば、車載モニターにiPhoneのアプリが表示されて、iPhoneの便利な機能を安全に活用できます。iPhoneに格納しているいつもの音楽を聞きながら、クルマを停車することなく電話で話せます。フェラーリの顧客にとって、先進的で便利な技術を車内で使えるというのですから、取り入れない理由はありません。私たちの顧客の大半はアップルのユーザーであることや、ユーザーインタフェースの使いやすさもCarPlay採用の決め手になりました。CarPlayのいち早い採用は、フェラーリの先進性を保つことにもつながりますし、今後より多くのアプリ機能などを開発する計画もあります」(同氏)。
CO2排出量の低減や、業界に先駆けてのCarPlayの採用など、現代の社会における先進性を保ち、変革を続ける一方で、走行性能やエンジンサウンドといった“フェラーリらしさ”の根本となるものは決して失わない。それがフェラーリのビジネスモデルであり、顧客を知り、顧客がフェラーリを好む理由を知った上で行われた製品開発の結果でもあるのだ。
筆者紹介
川端由美(かわばた ゆみ)
自動車ジャーナリスト/環境ジャーナリスト。大学院で工学を修めた後、エンジニアとして就職。その後、自動車雑誌の編集部員を経て、現在はフリーランスの自動車ジャーナリストに。自動車の環境問題と新技術を中心に、技術者、女性、ジャーナリストとしてハイブリッドな目線を生かしたリポートを展開。カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の他、国土交通省の独立行政法人評価委員会委員や環境省の有識者委員も務める。
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