パナソニックが注力する「8/5×3」とは?:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックは2014年度の事業方針を発表。2014年度は、構造改革の総仕上げとするとともに成長戦略への仕込みを行う年と位置付け、2018年に売上高10兆円を目指す。
白物とAV、家電事業の一元化
主力とする「家電」については、現在洗濯機や冷蔵庫などの白物家電を扱うアプライアンス社にAVCネットワークス社の家電事業を移管。従来は「スペック優先」「イノベーション不足」「日本市場偏重」などの課題があった中、両部門の強みを合わせることで新たな強みを発揮できる体制にしていく。
津賀氏は「ローカルで生活に密着した製品を開発してきたアプライアンス社とグローバルで事業を行ってきたAVCネットワークス社では、人材の強みも全く異なる。これらが組み合わさることで新たな製品開発ができる土壌も生まれる。また、従来は同じ販売先であっても事業会社が別々という状況で、マーケティングなどで大きな動きが取りづらかったが、これらも行いやすくなる」と津賀氏は移管の効果を語る。
「中期的にはほぼ2兆円が見えてきた」(津賀氏)と自信を見せる「車載」については、車載電池事業とインフォテインメント関連を武器にさらに販売を伸ばしていく方針。米国テスラモーターズなどに供給する円筒型に加え、角型リチウムイオン電池などについても評価が高まってきているという。「住宅」については、リフォーム事業の拡大と海外市場の成長を狙うとしている。
5つの事業領域×3つの地域
これらの重点5事業での取り組みに加え、津賀氏が成長に向けて新たに重視しているのが「地域からの逆算で考える」ということだ。「パナソニックがさらなる成長を求める中、各地域で十分な売上高が上げられているかを考えると、決してそうではなかった。事業軸での戦略とともに、地域軸での戦略を考えなければならない」と津賀氏は語る。
そこで同社では、地域特性の近い「日本」「欧米」「海外戦略地域(アジア・中国・中東・アフリカ)」の3地域に分け、5つの重点事業領域とこれらの3つの地域特性を組み合わせたマトリクスで、経営リソースの分配を考えるようにした。その上で市場の可能性に対してパナソニックの占有率が低い地域に対し、経営リソースを大胆にシフトし、地域ごとに勝てる体制を作るという。
津賀氏は「15個の中で潜在的な需要と現状のギャップが大きい8分野に絞って経営リソースを大きく振り向けていく。これらを基に戦略を進めていけば、どこで勝つのかというのが明確になる。売上高10兆円はパナソニックが何度も掲げては阻まれてきた目標だ。しかし当時を振り返れば伸びる事業と縮む事業が混在しうまく集中できていなかった。今回のマトリクスで成長領域により多くのリソースをシフトし、集中投資を進めていける」と語っている。
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