富士通テンが電池パック制御用ECUを開発、ソフトウェア基盤にAUTOSARを採用:電気自動車
富士通テンは、「第5回国際二次電池展」において、電気自動車やハイブリッド車のリチウムイオン電池パックを制御するECU(電子制御ユニット)「BMS-ECU」を展示した。ソフトウェアプラットフォームにAUTOSARを採用していることなどを特徴としている。
富士通テンは、「第5回国際二次電池展」(2014年2月26〜28日、東京ビッグサイト)において、電気自動車やハイブリッド車のリチウムイオン電池パックを制御するECU(電子制御ユニット)「BMS-ECU」を展示した。
BMS-ECUは、リチウムイオン電池セルの電圧を監視するCMU(Cell Monitoring Unit)モジュールと、CMUから得た各電池セルの情報に基づいて充電状態(SOC:State of Charge)を算出しながらリチウムイオン電池パックの充放電制御を行うBMU(Battery Management Unit)モジュールから構成されている。1個のCMUモジュールは12個までの電池セルの電圧監視が可能。標準のBMUモジュールは8個までのCMUモジュールと接続できるので、最大96個の電池セルから構成されるリチウムイオン電池パックの制御を行えることになる。ただし、「BMUに搭載しているマイコンを、処理性能の高いものに置き換えれば、接続可能なCMUモジュールの数は増やせる」(同社)という。
富士通テンによる「BMS-ECU」の展示デモ。1つ目の特徴であるシステム故障診断とフェイルセーフ機能を確認できるよう、ボリュームスイッチやボタンを使って仮想的に異常/問題を発生させられる(クリックで拡大)
BMS-ECUには3つの特徴がある。1つ目は、電気自動車やハイブリッド車のリチウムイオン電池パックを制御する上で不可欠なシステム故障診断とフェイルセーフ機能を搭載していることだ。ECUの駆動電源である12V電源の異常や、CMUの異常、過充電/過放電、断線異常、吸気温度異常、メインリレー異常、高圧部の絶縁低下といったさまざまな異常/問題の発生を自己診断することができる。
2つ目は、開発効率の向上が可能な、ハードウェアとソフトウェアのプラットフォーム構成である。ハードウェアについては、先述したようにBMUとCMUに機能ブロックを分けている。システムの試作段階ではBMUとCMUを別々のモジュールとして分けて開発を進めながら、最終段階でBMUとCMUを1個のプリント基板上に集積することも容易である。
ソフトウェアのプラットフォームには、欧州の車載ソフトウェア標準規格であるAUTOSARを採用した(関連記事:AUTOSARで変わる車載ソフトウェア開発)。富士通テンによれば、「SOCの算出アルゴリズムは、顧客が独自に用意していることも多い。この開発済みのアルゴリズムを、従来型のECU開発手法で組み込もうとすると、OSやドライバといったアルゴリズムよりも下層の部分に手を加えなければならず、その分開発に時間がかかってしまう。AUTOSARプラットフォームの場合には、アルゴリズムがAUTOSARに準拠したソフトウェアコンポーネント(SW-C)になっていれば、われわれの提供する下層のベーシックソフトウェア(BSW)の上にそのまま組み込めるので開発期間を短縮できる」としている。
3つ目は、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に対応していることだ。現時点では、ISO 26262の安全要求レベルのうちASIL Cに対応している。ASILは、A〜Dの4段階で分けられており、ASIL Aが最も低く、ASIL Dが最も高い。「現在はASIL Cまでの対応になっているが、顧客の求めに応じてASIL Dに対応することも検討している」(同社)という。
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