電気自動車を太陽光発電の電力で農業に活用、三菱自とニチコンが実証実験:電気自動車
三菱自動車とニチコンは、宮城県岩沼市内において、太陽光発電の電力を使って農業に利用する電気自動車(EV)や電気トラックに充電できる「農業用充電ステーション」の本格稼働を開始した。
三菱自動車とニチコンは2014年2月3日、宮城県岩沼市内において、太陽光発電の電力を使って農業に利用する電気自動車(EV)や電気トラックに充電する「農業用充電ステーション」の本格稼働を開始したと発表した。
同ステーションは、太陽光発電の電力をリチウムイオン電池に蓄えておき、農業に利用する電気自動車(EV)や電気トラックに充電することができる。つまり、系統電力を使わずに、再生可能エネルギーだけでEVを運用することが可能である。同ステーションで充電したEVは、急速充電に用いるCHAdeMOコネクタと可搬式の給電装置を使って、移動先にある電動農機具やハウス栽培システムに電力を供給することもできる。
両社は、農業用充電ステーションの本格稼働に合わせて近隣の農家にEVを貸与する。これによって、農家でのEVの使用実態や、農地でのEVに蓄えられた電気の活用方法などについてデータを収集する。「太陽光発電の電力をEVを活用して農業に用いる試みは全国で初めての事例」(両社)だという。
この取り組みは、農林水産省および復興庁による、東日本大震災被災地の農林水産業復興を目的とした研究事業「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」の一環で、両社が「農村地域における未利用エネルギー利活用実証研究」の分野に応募し、採択されたものだ。実証実験を進めることで、再生可能エネルギーによるクリーンな電気の地産地消、未電化地域における系統電力に依存しない農業、ガソリン代の節減による農業生産コストの低減などへの寄与が見込めるという。
今後は、太陽光発電のみでなく、風力、小水力などを用いた充電ステーションを複数設置する。これらをネットワーク化することにより、コミュニティーの中でエネルギーを効率よく用いて農業を行う「スマートアグリネットワーク」の構築に向けた実証実験を進める予定だ。
関連記事
- EVが“走る大容量蓄電池”になる、3社の電力供給システムを比較
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を販売している、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車の3社が、電力需給がひっ迫するであろう夏を前に、EVとPHEVから電力を供給するシステムを発表した。各システムの機能を比較すると、それぞれの最適な用途がはっきりと見えてくる。 - 軽トラEVを農作業に活用、三菱自動車が「CEATEC」に2年連続出展
三菱自動車は、「CEATEC JAPAN 2012」で、2013年初頭に発売予定の軽トラック電気自動車(EV)「MINICAB-MiEV TRUCK」を初公開する。外部電力供給装置「MiEV power BOX」を接続して、農作業におけるEVの新しい活用方法を提案するという。 - 富士通が野菜を作る!? ――半導体のクリーンルームを転用した植物工場を設立
富士通グループは福島県会津若松市で半導体工場のクリーンルームを転用し大規模植物工場の実証事業を開始する。同社の農業向けクラウドサービスの活用実証としてだけでなく、生産物の販路開拓なども行い、ビジネスとしてのサプライチェーン構築を行う方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.