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EVが“走る大容量蓄電池”になる、3社の電力供給システムを比較電気自動車(1/2 ページ)

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を販売している、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車の3社が、電力需給がひっ迫するであろう夏を前に、EVとPHEVから電力を供給するシステムを発表した。各システムの機能を比較すると、それぞれの最適な用途がはっきりと見えてくる。

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 電気自動車(EV)は走行中に排気ガスを出さないことを最大の特徴とするエコカーである。三菱自動車の「i-MiEV」や日産自動車の「リーフ」といった市販のEVは、「究極のエコカー」をキャッチコピーとして販売展開されている。

 EVは、エコカーである一方で、もう1つの側面を持っている。それは、市販品として最大クラスの容量を持つ電池を搭載していることだ。EVの市場投入以前で、最大の電池容量を持つ市販品は、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」である。プリウスの1.3kWhに対して、i-MiEVは10倍以上の16kWh、リーフに至っては20倍近い24kWhもの容量を持つ電池を搭載しているのだ。EVは、10kWh程度とされる一般家庭が使用する1日分の電力を賄って余りある、“走る大容量蓄電池”なのである。

 EVの大容量電池から電力を供給するシステムの開発は、EVの量産開発と並行して進められていた。しかし、東日本大震災以降は、夜間にEVの電池に充電した電力を昼間に使用すれば電気代の節約や電力需要の平準化に役立つことや、停電時や災害時などの電力源としても利用できることがクローズアップされ、開発は加速した。

 最初にEV用の電力供給システムを発売したのは、EVの市場投入でも先行した三菱自動車である。i-MiEVと軽商用車EVの「MINICAB-MiEV」の電池から電力を供給できる「MiEV power BOX」を2012年4月末に市場投入したのだ(関連記事1)。

 日産自動車は、リーフの電池を住宅用電源として利用できる「LEAF to Home」を2012年6月中旬から販売を開始する。ニチコンの「EVパワーステーション」を使ったシステムで、6kWの出力で電力を供給可能である。

 電力供給システムの利用はEVに限ったものではない。エンジンを搭載するプラグインハイブリッド車(PHEV)も、EVよりは少ないが大容量の電池を搭載している。トヨタ自動車は2012年6月、PHEV「プリウスPHV」と住宅の間で電力を相互に供給する「V2H(Vehicle to Home)システム」を開発したと発表した。2012年末から、電力供給機能を備えるプリウスPHVとV2Hシステムの実証実験を始める計画である(関連記事2)。

三菱自動車の「MiEV power BOX」日産自動車の「LEAF to Home」トヨタ自動車の「V2Hシステム」 EVやPHEVから電力を供給するシステム。左から、三菱自動車の「i-MiEV」と「MiEV power BOX」(写真左下)、日産自動車の「リーフ」と「LEAF to Home」、トヨタ自動車の電力供給機能を持つ「プリウスPHV」の利用イメージである。(クリックで拡大)

 トヨタ自動車の発表により、EVもしくはPHEVを国内市場で展開する自動車メーカーの電力供給システムが出そろったことになる。各システムの機能や特徴を見ると、その用途がはっきりと異なることが分かる。

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