クアルコムが車載情報機器向けプロセッサ市場に参入、LTEモデムの実績を生かす:2014 CES
スマートフォンやタブレット端末向けプロセッサで高シェアを握るQualcomm(クアルコム)が、ついに車載情報機器向けプロセッサ市場への参入を決めた。2014年1〜3月期には、「Snapdragonオートモーティブ開発プラットフォーム」をサンプル提供する計画である。
スマートフォンやタブレット端末向けプロセッサで高シェアを握るQualcomm(クアルコム)が、ついに車載情報機器向けプロセッサ市場への参入を決めた。
同社は、消費者向けエレクトロニクスの総合展示会「2014 International CES」(2014年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)の開催に先駆け、2014年1月6日(米国時間)に「Snapdragonオートモーティブソリューション」の第1弾製品として、アプリケーションプロセッサ「Snapdragon 602A」と、Snapdragon 602Aのチップセットとして用いるLTEモデムIC「Gobi 9x15」、802.11acに対応するWi-Fiチップ「QCA6574」、Bluetooth LE 4.0に対応するモジュールを発表した。2014年1〜3月期には、Snapdragon 602Aとこれらの無線通信ICを利用できる「Snapdragonオートモーティブ開発プラットフォーム」をサンプル提供する計画である。
Snapdragon 602Aは、プロセッサにクアッドコアの「Krait 300 CPU」、グラフィックプロセッサに「Adreno 320 GPU」、DSPとして「Hexagon DSP」を搭載している。この他、車載情報機器の主要機能であるカーナビゲーションで必須となるGNSS(衛星測位システム)のベースバンド処理も行える。これらの機能面で見ると、Snapdragon 602Aは、2013年1月発表のモバイル機器向けプロセッサ「Snapdragon 600」とほぼ変わらない。ただし、Snapdragon 602Aは、車載半導体に求められる動作温度範囲、耐振動性、品質、製品寿命、信頼性などを満足するAEC-Q100という規格に準拠している点で大きく異なる。なお、Snapdragon 600のKrait 300 CPUの動作周波数は1.9GHzだったが、Snapdragon 602Aでは明示されていない。
クアルコムが車載情報機器向けプロセッサの展開を図る上で、重要な役割を果たすとみられるのがGobi 9x15である。Gobi 9x15は、クアルコムの100%子会社であるQualcomm Technologiesが開発したLTEモデムIC「Gobi」の第2世代製品であり、3Gと4Gにマルチモードで対応する。Gobiは車載情報機器の通信機能向けに採用されて既に10年以上の実績があり、全世界累計で1000万台以上の車両に搭載されているという。Snapdragon 602AとGobiを組み合わせることで、通信機能を備えた車載情報機器の開発が容易になるとしている。
Snapdragon 602Aを中核とするSnapdragonオートモーティブソリューションは、Androidの他、QNX Software Systemsの車載情報機器向けプラットフォーム「QNX CAR」に対応している。
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