クアルコムがEVスポーツカーを披露、効率90%のワイヤレス充電システムを搭載:オートモーティブワールド2013
スマートフォン向けプロセッサで知られるクアルコムが、「オートモーティブ ワールド2013」に初出展。同社の電気自動車(EV)向けワイヤレス充電システム「Qualcomm Halo」を搭載するEVスポーツカー「Delta E-4 Coupe」を展示した。
Qualcomm(クアルコム)が、自動車関連技術の展示会「オートモーティブ ワールド2013」(2013年1月16〜18日、東京ビッグサイト)に初出展した。
クアルコムといえば、スマートフォン向けプロセッサ「Snapdragon」などで知られている。しかし、オートモーティブワールドで展示したのは、Delta Motorsportsの電気自動車(EV)スポーツカー「Delta E-4 Coupe」である。このDelta E-4 Coupeに、クアルコムが開発したワイヤレス充電システム「Qualcomm Halo」が搭載されているのだ。
クアルコムが展示した「Delta E-4 Coupe」。「Sport Version」グレードであれば、時速0〜100km加速は4秒、最高時速は240kmに達する。容量48kWhの電池を搭載しており、満充電からの走行距離は320kmとなっている。(クリックで拡大)
Qualcomm Haloには、一般乗用車向けの3.3kW、大型車や商用車向けの7kW、急速充電用の20kWという3つの出力のシステムが用意されている。Delta E-4 Coupeに搭載されているのは、3.3kW出力のシステムである。送電効率は最大90%。送電モジュールと充電モジュールの位置ずれは15〜20cmまで許容でき、このときの送電効率は80〜85%になるという。さらに大きな位置ずれがある場合には、ワイヤレス充電を行えなくなるように設定している。
「Delta E-4 Coupe」に搭載されている「Qualcomm Halo」。左側が駐車場などに設置する送電モジュールで、右側が車両に搭載する受電モジュール。受電モジュールのサイズは、少し大きめのタブレット端末といった印象だ。(クリックで拡大)
同社は、2012年からロンドン市内で行われている、50台のEVを使ったワイヤレス充電システムの実証実験にQualcomm Haloを提供している(関連記事)。出展したDelta E-4 Coupeも、この実証実験に参加している車両である。
この実証実験でQualcomm Haloが用いている周波数は40kHzである。日本国内では、電波時計の信号周波数(40kHz)と干渉するため、実際に動作せることはできない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- クアルコムがEV技術に注力、ロンドンを無線充電都市に変える
携帯電話機の無線充電はごく当たり前の技術に育ってきた。クアルコムは英国の政府機関と協力して、携帯電話機の次に、EVの無線充電にも取り組む。50台のEVを使って商用化を前提とした実験を開始する。 - とうとう実験が始まったEV用非接触充電、IHIが取り組む
充電ケーブルが不要な非接触充電。EVへの適用を目指した実験がいよいよ始まった。三菱自動車や米WiTricityと組むIHIがテスト用EVを試作し、1年間のテストに取り組む。 - トヨタ自動車、電気自動車の無線充電に取り組む
トヨタ自動車はワイヤレス給電技術の開発を進める米国のベンチャー企業WiTricityと提携し、ケーブル類を使わなくても無線で電気自動車の充電が可能なシステムの実用化を目指す。