クアルコムがEV技術に注力、ロンドンを無線充電都市に変える:電気自動車
携帯電話機の無線充電はごく当たり前の技術に育ってきた。クアルコムは英国の政府機関と協力して、携帯電話機の次に、EVの無線充電にも取り組む。50台のEVを使って商用化を前提とした実験を開始する。
Qualcomm(クアルコム)は、2011年11月10日(現地時間)、ロンドン市長オフィスやTransport for Londonと協力して、無線充電(ワイヤレス充電)の実証実験をロンドンで開始すると発表した(図1)。クアルコムが電気自動車(EV)に対する無線充電の実証実験を開始するのは初めて*1)。
*1) クアルコムは携帯電話機の無線充電技術の他、大電力を使う充電技術の技術開発を続けていたという。
2012年初頭から、ロンドン市内のEast London Tech City(ELTC)などで50台のEVを使った無線充電の実験を開始する。この実験は商用化を前提としたものだ。
ELTCは、2010年末から計画が始まった技術ハブ地区。米国のシリコンバレーを参考にしたという。今回の実験開始に当たって、英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相や、ロンドンのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長からも実験に対する支援のメッセージが出ている(図1)。これはELTC地区へ起業家を集め、ELTC地区をスマートEVシティーとして盛り上げるためだ。政府はELTC地区を含む英国国内の8カ所のプロジェクトに向けて、合計3000万ポンド(約37億円)の補助金を支出する。
図1 実験車両と英国首相 英国のデービッド・キャメロン首相(左)とQualcomm European Innovation部門でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるアンドリュー・ギルバート氏(右)。出典:Qualcomm
実証実験では無線充電技術として、クアルコムが開発した電磁誘導方式を採用する。同技術を使うと、EVと駐車場の路面に置いた充電器の間の距離が離れていた場合でも効率良く電力を伝達できるという。
これは同技術が位置合わせ技術を含んでいるからだ。ドライバーが駐車場の所定の位置に駐車すると、システム側で位置を合わせ、最適な充電状況を作り出せる。
実験には、英国最大のミニキャブメーカーであるAddson Leeや、欧州のEVインフラ事業者であるChargemaster plcが参加する。なお、実験に使用するEVの調達先は未公開である。
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