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「その製品1つ作ったらいくら儲かるの? 」に答えられるか――キナクシス製造マネジメントインタビュー(2/2 ページ)

日本の製造業の海外展開の歴史は古く、SCMの導入も進んでいる。しかし、今さらにSCMの一段の強化が求められるようになっている。なぜサプライチェーンを今さらに強める必要があるのか。カナダ Kinaxisのバイスプレジデント トレバー・マイルズ氏と、プロダクトマネジャーのアンドリュー・ベル氏に話を聞いた。

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S&OPが日本で定着するカギは?

MONOist プランニングを重視したS&OPは日本ではなかなか定着が進んでいません。普及に向けてはどういうところがポイントになると考えていますか。

マイルズ氏 S&OPは新しい概念ではないが、ここ数年、欧米企業も含めて再び刷新する動きが出てきている。ポイントになってきているのが金額ベースでのサプライチェーン管理だ。

 例えば、ある家電量販店では、製品を大量に採用してくれるが売価が安く、もう一方の家電量販店では製品導入数は少ないが売価が高い、という状況が発生した時、数量ベースの管理ではどちらが最終的に経営に貢献するのか、という判断ができない。結果として利益が出ない状況でも大量に採用してくれる販売店に製品を提供し、赤字になるというような場面が多くある。

 製品の数量と金額を同時に把握できるようになれば、どちらの場面でどれだけ利益が出るか、という判断が瞬時に可能となり、損失の出る取引を抑えられる。

インメモリによるクイックレスポンス

MONOist キナクシスのソリューションの強みをどう考えますか。

マイルズ氏 われわれは30年間サプライチェーンのプランニングについて取り組みを進めてきており、数学的な分析で回答するようなソリューションも提供してきたが、それだけでは製造業の抱える問題点を解決しきれなかった。経営的な判断につながるようなプランニングの仕組みが必要だ。「モニター」「レスポンス」「プラン」を3つのキーコンセプトとしたソリューション提供を行っている。

ベル氏 われわれが提供する「RapidResponse」は、インメモリデータベースエンジンによるシングルソリューションでS&OPの機能を提供できることがポイントだ。インメモリ技術を採用したERPなどもあるが、いくつかのシステムに分散している場合は、データの移行やシステム間の連携などで、インメモリ技術による高速レスポンスのメリットを享受できない場合も多い。RapidResponseはシングルソリューションだからこそ、必要なさまざまな情報の分析を素早く行うことができる。また前述のシナリオプランニング機能などの他、これらを利用するさまざまな部門の担当者に最適化できるカスタマイズ機能などを備えていることが特徴だ。

設備産業向けのソリューションも用意

MONOist 現在の導入状況はいかがですか。

マイルズ氏 グローバルでは35%程度の成長を続けている。ハイテク企業や航空・宇宙関連企業、EMSなどの導入が多い。EMSではフレクストロニクス(Flextronics)やジェイビルサーキット(Jabil Circuit)、セレスチカ(Celestica)などが採用している。日本ではコニカミノルタ、カシオ計算機、ニコン、オリンパスなどが導入している。

MONOist 今後の機能拡張についてはどのように考えていますか。

ベル氏 モバイル対応を進めていく他、IPM(Integrated Project Management)という機能を用意する予定だ。これは取り付け工事などが必要な設備産業向けのソリューションで、サプライヤの他、工事業者などを含めたプロジェクトベースでの情報を一元管理し、経営判断を下せるようにしたもの。ある企業の要望を受けて開発したものだが、既に他業界の企業からの関心も高い。



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