「M2M」「IoT」「クラウド」――“つながる技術”が切り開く組み込みの未来:「ET2013」展示会場リポート(3/3 ページ)
2013年11月20〜22日の3日間、パシフィコ横浜において恒例の組み込み関連イベント「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」が開催された。本稿では、多数のブースの中から“これからの組み込み技術”という視点でピックアップした展示デモの内容を紹介する。
狭帯域でも高画質画像を転送できるニューゾーンのシステム、アクセル
さまざまなサイズの12台のディスプレイに、鮮やかなグラフィックスを表示させるデモが目を引くアクセルブースでは、同社の子会社ニューゾーンの狭帯域用画像転送ユニット「NZ103U」の実機によるデモを行っていた。
NZ103Uがターゲットにするのは、データ転送速度は低いが簡単に免許が取れ、通信自体は使い放題で低コストというデジタル簡易無線だ。デジタル簡易無線は、都市部で数キロ、見通しの良い郊外なら10数キロの範囲で通信が可能だ。この安価な無線インフラを画像伝送に活用しようというのがニューゾーン/アクセルの狙いだ。NZ103Uは元の画像サイズを100分の1や200分の1(数段階に設定できる)に圧縮して送るが、そのような圧縮でも表示が破綻しないよう同社独自のアルゴリズムを開発した。温室や畑など農業の管理分野での利用を想定しているという(関連記事:「音声だけじゃない! これからは画像も送れる!!」――ニューゾーンの狭帯域画像伝送ソリューション)。
正確な視線情報でこれまでにないUIを提供、トビー・テクノロジー・ジャパン
小さなブースながら多くの来場者が足を止めていたのが、トビー・テクノロジー・ジャパンのアイトラッキングシステム(視線トラッキング)の展示だ(関連記事:ペンケースサイズの小型アイトラッキング装置「TobiiアイトラッカーX2」発売)。
同社は、スウェーデンに本拠を置く企業で、世界に20社ほどある視線トラッキングシステムのメーカーの中で、シェア50%を誇るという。その特徴は、数秒程度で終わる簡単なキャリブレーションだけで、非常に正確な視線トラッキングが可能なソリューションであること。他社のシステムでは顔をがっちりと固定しなくてはならなかったり、メガネを掛けているとダメだったりするが、そういった制約が少なく、赤ちゃんやチンパンジーの視線データも取れるという。赤外線LEDから赤外線を顔に当て、その反射を赤外線カメラで受け、そのデータを基にどこを見ているかをほぼリアルタイムに解析する。誤差は画面上の1cmの円程度と他のシステムよりも正確だ。
さまざまな企業と共同開発を行っているが、ET2013と同時期に開催された「東京モーターショー2013」で、同社のシステムを応用したヘッドアップディスプレイ(HUD)が三菱電機のブースで展示されたという。2014年中にはカメラ部をより小型化(親指の先程度)して、タブレット端末などに組み込む計画とのことだ。
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