「よかったら代わりに作ります」富士通もNECも製造業のモノづくり支援を拡大:製造ITニュース(2/2 ページ)
富士通とNECが、それぞれ製造業支援サービスの幅を広げている。ICTだけでなく製造ノウハウ提供まで含めた総合サポートの体系化を進める一方、EMS(電子機器受託製造サービス)や部品提供などにも取り組む。
ものづくり革新隊で製造業を総合的にサポート
富士通は2013年11月15日、都内でユーザーイベント「富士通ビジネスイノベーションフォーラム 2013」を開催した。同社は2013年5月から従来業種別に細かく分かれていた営業グループを5つの大グループに再編し、新たに製造業や流通関連に向けた提案を行う産業・流通営業グループを設立。今回のフォーラムは、新組織になって初めてのものとなる。
富士通では2012年10月より「ものづくり革新隊」という製造業向けのサービスの提供を開始している。これは、富士通の持つICTの力と、同社が工場で培ったノウハウを組み合わせて外販しようというものだ(関連記事:FJPSとは? 富士通がモノづくりノウハウを丸ごと提供へ)。開始から約1年が経過する中、約100社との取引が進行中で引き合いも強いという。
この流れの中、2013年10月23日には、ものづくり革新隊を含む製造業向けサービス再編成し「ものづくりソリューション」として再定義したことを発表した。その中で、生産ノウハウやICTの提供などに加え「ものづくりビッグデータ分析」「製造支援(製造受託など)サービス」「仮想検証ソリューション」などのサービスをポートフォリオに加え、事業領域を広げている。
社内実践を生かして受注獲得へ
富士通ビジネスイノベーションフォーラム 2013でも、製造業向けのソリューションをあらためてアピール。仮想検証ソリューションとして、富士通のVPSなどのシミュレーションツールや、これらを3Dで見られるソリューションなどを展示した。
また主催者講演に立った富士通 執行役員常務 産業・流通営業グループ長の花田吉彦氏は、事例を交えながら同社のソリューションを紹介した。モノづくりの事例としては、富士通のPC生産などを行う島根富士通での社内実践(関連記事:富士通のPC工場、勝利の方程式は「トヨタ生産方式+ICT活用」)を生かし、家電製造業にグローバルMESを導入したケースなどを紹介した。
花田氏は「ICTに求められる役割は守りから攻めへと変わろうとしている。フィールドイノベーション、グローバル展開、安心・安全をキーワードに、イノベーションをサポートしていきたい」と話している。
世界同時開発を推進するには?:「グローバル設計・開発コーナー」
世界市場を見据えたモノづくりを推進するには、エンジニアリングチェーン改革が必須。世界同時開発を実現するモノづくり方法論の解説記事を「グローバル設計・開発」コーナーに集約しています。併せてご参照ください。
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