パナソニックが事業再編を拡大、プラズマとスマホに続きエアコンとデジカメも:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックは、経営再建に向けてテレビ事業の見直しを発表。プラズマディスプレイの生産を終了し、プラズマテレビから正式に撤退することを明らかにした。同社は個人向けスマホの新製品開発休止なども明らかにしており、事業ポートフォリオの変革を急いでいる。
主要赤字5事業への取り組み
2013年3月の段階で「抜本的再編が必要」として赤字解消に取り組んできたのが、「テレビ・パネル」「半導体」「携帯電話」「回路基板」「光事業」の5事業だ。このうち「テレビ・パネル」ではプラズマディスプレイの生産終了を今回決め、また「携帯電話」では個人向けスマートフォン事業の開発休止を発表している。さらに「光事業」では国内拠点を再編するなど、各事業でアセットライト化などに取り組んできた。
これらの5事業についても「まだ黒字化への道筋が見えていない事業がある」と津賀氏は話す。
「例えば半導体事業は、何を作って何を作らないかという見極めを進めているが、事業環境の厳しさは増している。当社の半導体事業はモノを作らないと駄目な事業構造であり、そこには人も必要になってくる。これらの状況を踏まえてありとあらゆる可能性を考えなければならない」と津賀氏は語る。
さらに新たな課題事業も登場したという。エアコン事業が中国事業の不振と為替が悪化したことにより赤字に転落。またデジタルカメラ事業も、スマートフォンの普及によりコンパクト機の市場が世界的に急減している影響を受け、赤字幅が拡大しているという。
2016年3月期に赤字事業をゼロに
同社では2014年3月期と2015年3月期を再編期と位置付けており、2016年3月期までに赤字事業の解消を目指している。そしてそのためには、事業によってはさらなる事業撤退なども視野に含む。津賀氏は「黒字化への道筋が見えない一方で、規模の大きな事業については撤退せざるを得ない」とさらなる事業撤退の可能性も示唆している。
家電業界では不採算部門の再編が進んでおり、パナソニックの他、NECがスマートフォンから撤退(関連記事:NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速)。その他、東芝の欧州テレビ工場売却や富士通のマイコン・アナログ事業の売却など、事業ポートフォリオの再編が続いている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速
NECは、NECカシオモバイルコミュニケーションズが担っていた携帯電話端末事業を見直し、スマートフォン事業からの撤退を正式発表した。同社は、主力の社会ソリューション事業に集中する「前向きな撤退」ということを強調した。 - 富士通が野菜を作る!? ――半導体のクリーンルームを転用した植物工場を設立
富士通グループは福島県会津若松市で半導体工場のクリーンルームを転用し大規模植物工場の実証事業を開始する。同社の農業向けクラウドサービスの活用実証としてだけでなく、生産物の販路開拓なども行い、ビジネスとしてのサプライチェーン構築を行う方針だ。 - パナソニックが自動車分野の売上高を2兆円へ、「デンソー、ボッシュに並ぶ」
パナソニックは、新たに策定した中期計画の中で、今後のパナソニックの柱として自動車分野に注力する方針を示した。2018年度に現在の2倍となる売上高2兆円を目指す。同社社長の津賀一宏氏は、「デンソーやボッシュといった立派なティア1サプライヤと肩を並べられるようにしたい」と述べている。