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中国は航空機サプライチェーンの「勝ち組」になるのかモノづくり最前線レポート(40)(2/2 ページ)

アリックスパートナーズは、航空機関連市場に関する調査結果を発表した。同調査結果では、MRJや炭素繊維素材の利用拡大などで日本企業の存在感拡大はあるものの、航空機のサプライチェーンにとって、今後は中国が存在感を高めるという見通しを示している。

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進む航空機のサプライチェーン統合

 競争激化の一方だが、航空機自体へのニーズは引き続き強く、現在の生産ラインでは航空機が足りなくなることが予測されている。上野氏は「ボーイングとエアバスに限った話でも2012年に1000機、2013年には1300機の納入が見込まれている。納入数を増やしても多くの積み残し注文を抱えているという。特に中型機や小型機は今後も需要は伸び続けるだろう」と需要予測について説明する。

 これらの需要増に対応するために進むのが「サプライチェーンの統合」だ。従来バラバラに製造を行ってきたサプライチェーンの統合を進めることで生産性を向上し需要に応える生産能力を生み出そうとする動きだ。

 従来航空機のサプライチェーンは、航空機メーカーが直接部品メーカーやインテグレーター(複数の部品を組み合わせて導入する企業)と取引を行い、部品などの供給を受ける形だった。

 しかし現在では、インテグレーターの役割が拡大し、エンジンなどの基幹部品を製造する企業が「大規模インテグレーター」として、サプライチェーンの大きな部分を占めるようになってきた。航空機メーカーは大規模インテグレーターとの取引を主とし、これらの企業からある程度の機能に統合された部品を納入するビジネスモデルに変わってきている。

航空機のサプライチェーン統合の動き
航空機のサプライチェーン統合の動き(クリックで拡大)

 今後はさらにインテグレーターによる統合の動きが加速する見込み。部品メーカーや素材メーカーの選別も強まると予測されている。「日本でいう“系列化”の動きが加速する。導入メーカーの選別は進み、参入障壁は高くなるだろう。一方で取引メーカーの絞り込みが進むことでサプライチェーンの統合が進み、より効率的な生産体制が取れるようになる。生産地の集約なども可能になるかもしれない」(上野氏)。

足りない生産能力を中国が埋める

 さらに生産性の向上だけでは足りなくなる可能性もあるとし「新たな供給ラインを確保する動きが出始めている」と上野氏は指摘する。この足りない供給ラインを補う可能性が高いのが中国だ。「中国企業はティア1、ティア2の部品メーカーなどを買収して航空機の技術や航空機メーカーとの関係性強化を図っている。これらにより技術力や品質を高め、さらに中国内で統合化が進むようなことがあれば、新たなサプライチェーンの集積地を中国に作ろうという動きにつながってくる」と上野氏は警鐘を鳴らす。

 現在は例えばボーイングでは、米国に3工場、イタリアと日本に1工場ずつ保有している。日本の場合では中部国際空港周辺への集積化が進んでいるが「数年後にはアジアの航空ビジネスの中心地は日本から中国に移る可能性は高い」と上野氏は話している。

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